角松敏生ツアー 2017 青森公演 #角松敏生 #本田雅人


ひょっとしたら角松ファンから「そんなことあり得ない」というお怒りの声もあるかもしれませんが、ここはお叱り覚悟で私見を言わせていただきますと、角松敏生とPrinceって、どこか似ているような気がします。

ざっと思いついた共通点。
楽器を弾いて歌って、それでいて他人のプロデュースもして、しかも敢えて言うならば女性好き、その上、神経質というか職人気質、端的に言えば自分大好きなんだけれど中途半端には妥協しない、だからこそ己の道をとことん突き詰めた挙句にレーベルというかレコード会社と揉め、片や改名、片や休業。
ついでに言えばパステルカラーが似合う。
参考までに、Princeが1958年、角松が1960年生まれ、世代も近いという…。

そういえば僕自身、角松敏生とPrinceを聴き始めたのもほぼ同じころ、高校に入学した直後でした。…ということはそれから約30年、ずっと両者については聴き続けていたわけで。
考えてみると、これまで色んなアーティストのライブやコンサートを観てきましたが、恐らく回数で言えばベスト3に入るぐらいこの方のライブを観ていると思います。そんな彼、角松敏生の2017年のツアー青森公演、10年ぶりの青森公演に行って参りましたので、簡単にレポート。…というか簡単にレポートの前のイントロダクションが長過ぎました。相変わらず、どうもすいません。

2017年6月3日(土)、青森は6月とは思えぬほどの冷え込み。初夏というよりは初春を彷彿させるような冷たい雨が降る中、会場の青森市民ホールにはたくさんのお客さんが集まっていました。僕の席は前から6列目のかなり左寄りではありましたが、ツアーに帯同しているサックスプレイヤー、本田雅人がちょうど真ん前にいるという、僕個人としては願ったり叶ったりの位置でした。この日の会場、2階席は見えなかったけれど、1階席はほぼ満席。恐らく全体でも9割以上が埋まっていたのかな?
…開演時刻の17時30分から遅れること3分、17時33分にいよいよ開演。

ざっと見たところの客層は、40代後半から50代前半が圧倒的に多く、男女の比率では4:6、といった感じでした。
…まだツアー中なのでセットリストを含む多くのことをここで披露するのは控えたいと思いますが、今回のツアータイトル「SUMMER MEDICINE FOR YOU Vol.3~SEA IS A LADY~」が示す通り、5月に発売されたインストゥルメンタルアルバム「SEA IS A LADY 2017」をメインとした、(個人的には)これまでの彼のライブの中でも恐らく1,2位を争うぐらいの、非常に充実した素晴らしいライブでした。

10年経ってもなお飄々とした佇まいというか、間もなく57歳となる今もそのスタイルは全く変わっていないし、声量もそのまんま。ただ今回は、「ギタリスト角松敏生」の片鱗を申し分ないぐらい堪能することができたのは、なんだろう、これまで色んなライブを経験してきた中では、ちょっとまた違った印象を「強烈に」ぶつけられたな、そんな感じでした。

前述の最新アルバム「SEA IS A LADY 2017」に参加した5名のミュージシャンが、そのまんまツアーメンバーとして参加していました。
だから、アルバムからのナンバーをそのまま生で聴くことができる、というよりもむしろ、それ以上に深い音を楽しめるという感じ。とりわけこの日は、メンバーで最も若いドラマーの山本真央樹(24)が帯状疱疹を発症するというアクシデントの中で、この日会場に集まった人たちみんなに強烈な印象を与えるぐらいのドラムテクニックを遺憾なく発揮してくれました。

でも、何よりも感激したのは、本田雅人のサックス。
もうですね、彼のことを僕がああだこうだと言うのもおこがましいのですが、彼のテクニックは、ある意味この日と同じ代金(ちなみにこの日の前売りは8,500円)を払って観てもいいぐらい、素晴らしいものがありました。
もっとも、角松敏生のギタープレイをしっかりと目にするのは恐らく今回が初めてと記憶していましたが、お世辞抜きで、うまい。ホントうまい。前述のとおりインストゥルメンタルアルバムを引っ提げてのツアーですので、それ相応の思いを持ってツアーに臨んでいたはず、それにしても凄い。歌半分ギター半分といった構成、彼の唄声を楽しみにしている人にしてみれば物足りないのかも知れませんが、敢えて言います。

ギターが、唄います。
サックスも、唄います。
そして二人の手にしている楽器で、ハモります。

変な話、完全にツインボーカルですよ。

もう、この二人の掛け合いを堪能できただけでも大満足。もちろん他のメンバーも圧巻の演奏を繰り広げ、終演までの3時間があっという間でした。

この先ツアーは続くようですが、お近くにお住いの皆さんはぜひともこのライブを堪能していただきたいと思いますし、その前にこの「SEA IS A LADY 2017」というアルバムも是非購入いただきたいと思います。

そう、今から30年前、バブル景気に日本が沸き始めていたころですよ。そんな中にあって、今改めて再録されたこのアルバムを聴くと、妥協を決して許さない今の音楽に対する姿勢を、垣間見ることができます。
…もっとも、ライブはそんな堅苦しさは全くないんですけどね。
終わってみると正味3時間、諸般の事情で、既にライブを行った他の地域のライブと若干(?)セットリストも違っていたようですが、個人的には大・大・大満足の内容でした。

個人的には、パステル系のステージ衣装の中でも、履いていた靴(シューズ)を見ながらMCを聴いて、妙に納得してしまったのでした。

とにかく、このライブは是非お勧めです。お近くでライブがあるようでしたら、ぜひ足を運んでいただいたうえで、一足早い夏の雰囲気を堪能ください。そしてその前に、直近のアルバムで修業を積んでおきましょう。

(敬称略)


Get Wild SongMafia / TM Network


Get Wildの次の曲は、Get Wild。その次の曲も、Get Wild。これが延々繰り返されること、35回-

Get Wild(GET WILD)というタイトルの曲ばかり36曲収録された、超マニア向けな1枚。4時間を超える収録時間、4枚組というボリュームで税込3,240円。換算すると、1曲当たり90円(税込)。
ブックレットにはGet Wildの歌詞が掲載されているほか、3人揃ってのインタビュー、作詞した小室みつ子、主題歌となったアニメ「シティハンター」の原作者、北条司へのインタビューなどが掲載されています。(敬称略)

最初にGet Wildが発売されたのは1987年なので、今年で30年。このアルバムはそれを記念したプロダクツなのですが、たかだか1曲で4枚組のアルバムなんか、普通できませんって。(強いてライバルを挙げれば、紅白歌合戦の美川憲一「さそり座の女」ぐらいか?)

裏を返せばこの曲がいわばTM Networkの代名詞的な曲として、懐メロっぽさというか古さを感じさせることなく、時代を超えて長きにわたって演奏され続けて来たということであり、このアルバムに収録された36曲のうち、11曲がカバー曲ということが裏付けるように、いろんな人たちに歌い継がれてきたということになるわけです。

さて、その一方で残り25曲のうちライブバージョンが15曲。変な話だけれど、よくもまあ毎回ライブでこんなにアレンジを変えられるものだ、と…。
前奏で「ん?この曲何だ?」と思っても、「ゲッワーイ」のサンプリング声と、「ジャジャジャジャ!」という音がほんのちょっと流れるだけで会場が沸く、という…。(まあ、全曲「Get Wild」なので、「この曲何だ?」はないんですけど。)

インタビューでも触れられている通り、最初の「Get Wild」からリミックスされ、バブル全盛期に発表された「Get Wild’89」からどんどん派生していくこととなり、こんな「アホ」みたいなアルバムになったという…。

ところが不思議なことに、アルバムを購入してから通勤時に3日続けてこのアルバムを聴いていたんですけど、アレンジは違えど同じ曲が延々ループされているのに、なぜか飽きが来なかったんです。むしろ逆に、次の曲はどんなアレンジがされているんだろう、という楽しみが続いたのであります。感覚麻痺ですよ。

正直言ってこんなアルバム、古くからのTMファンか、よほどのマニアしか購入しないだろうし、一般の方々には全くお勧めできるものではありません。

でも、Get Wildにこだわるのも、いい加減もうこれぐらいでいいんじゃないかな、と思った次第ではありますが、全盛期にGet Wildを聴いて心ときめかせた皆さま、バブル期の感動を呼び覚ますには、3,240円なんて安いものです。だって、1曲90円ですよ!バブル全盛期には考えられないじゃないですか!

しかーし。
このアルバム、残念ながら収録されていないバージョン(これ以外にもまだあるのですよ!)があるので、評価は星4.5とさせていただきます。
さらにおまけ。

なんと、同じ曲名が続き過ぎたためなのか、同じ音源が収録されていたというトラブル!

TM NETWORK 「GET WILD SONG MAFIA」商品に関するお詫びと良品交換お申し込み特設サイトのご案内

えーと…手元にあるのはこのエラー盤ですが、僕、単なる「Get Wild」好きな一ファンで、マニアじゃないからなあ…(笑)。


エレファントカシマシ All Time Best Album THE FIGHTING MAN


1988年3月21日に発売されたエレファントカシマシのメジャーデビューアルバム「THE ELEPHANT KASHIMASH」。
その冒頭を飾る曲のタイトルは、「ファイティングマン」でした。
1997年3月14日に発売された14枚目のシングルのタイトルは、「戦う男」でした。
そして、この曲の発売から約4か月後、バンドにとって最大のヒット曲となる「今宵の月のように」を発売するわけですが、それまでの10年間、彼らはずっと戦い続け、そしてその後も、ずっとずっと戦い続けてきました。

2017年3月21日。エレファントカシマシのデビュー30周年を記念するこの日に発売されたのは、ボーカルの宮本浩次自らが、これまで発表された全楽曲から30曲を選曲した2枚組のオールタイムベスト。これまで幾度となくベストアルバムは発表されているので、「ううむ、またか。」という思いが交錯しているのも事実ですが、本人が選曲し、それを「Mellow & Shout」「Roll & Spirit」という二つのコンセプトに分類、それぞれ15曲ずつを収録したということ自体が、実はとても大きな意味を持つのだろうと感じています。
「Mellow & Shout」については、前述の「今宵の月のように」以降、言うなればバンドの大きな転換期を経た後の楽曲がメインとして収録され、一方の「Roll & Spirit」については、デビューからの苦難や紆余曲折、4人がまさに「戦う男」として立ち回っていた頃の楽曲が多く収録されています。
間違いなくエレファントカシマシにとって転機の曲となった「今宵の月のように」から始まり、デビューアルバムの最初を飾る「ファイティングマン」で幕を下ろすという30曲。このコンセプトだけでも、個人的には思わずニヤリ。
必ずしも全てがシングル曲というわけではないというところも、いいです。(これは今までのベスト盤も同じような編集でしたけれど。)

プロダクツは3種類用意されていて、通常盤、初回限定盤、そして完全受注生産盤。完全受注生産盤はその名の通り既に発売は終了していて、現在は通常盤と初回限定盤が市場で販売されています。

通常盤は2CD。初回限定盤は2CDに加えてこれまでの30年のライブの歴史がわかる「LIVEHISTORY DVD」として17曲が収められたDVDが付いています。

ちなみに私もゲットした完全受注生産盤は、通常盤の2CDに加えてデモ音源やレアトラックを収録した9曲入りのCD、更には1995年6月21日に行われた下北沢シェルターのライブ映像のDVDと、デビュー30周年を前に行われた下北沢シェルターのライブ映像とインタビューを収録したDVD、そして幼少期や海外を訪れた際のプライベートショットやアルバムジャケットに解説も収蔵した100ページに及ぶ「HISTORY PHOTO BOOK」がパッケージされています。

【収録内容】
2CD
(Disc1)Mellow & Shout
1.今宵の月のように
2.悲しみの果て
3.四月の風
4.風に吹かれて
5.夢のかけら
6.友達がいるのさ
7.俺たちの明日
8.笑顔の未来へ
9.リッスントゥザミュージック
10.翳りゆく部屋
11.桜の花、舞い上がる道を
12.ハナウタ~遠い昔からの物語~
13.新しい季節へキミと
14.ズレてる方がいい
15.夢を追う旅人

(Disc2)Roll & Spirit
1.ガストロンジャ―
2.デーデ
3.奴隷天国
4.花男
5.戦う男
6.so many people
7.コール アンド レスポンス
8.暑中見舞-憂鬱な午後-
9.俺の道
10.歴史
11.大地のシンフォニー
12.Destiny
13.RAINBOW
14.涙
15.ファイティングマン

ボーナスCD
(demo & レアトラック集)
ファイティングマン / デーデ / 星の砂 / ゴクロウサン / やさしさ
(2回目のヤマハポプコンに出場した時期に録音されたdemo音源)

ポマーシャ― / ビリージャー
(1983年頃、目黒キャットシティのライブより。高校時代の非常にレアな音源)

昔の侍
(1994年に録音された仮歌音源)

俺たちの明日
(COUNT DOWN JAPAN 06/07でのライブ音源。YANAGIMANプロデュース前の原初の形)

DVD
(Disc1)1995.6.21 下北沢シェルターLIVE映像(9曲収録)
1.夢を見ようぜ
2.ライヴにせかされて
3.悲しみの果て
4.baby自転車
5.孤独な旅人
6.baby baby
7.さよならばかり
8.始まりはいつも
9.花男

(Disc2)2016.12.27 下北沢シェルターLIVE映像(20曲収録) & 30周年振り返りインタビュー映像
1.夢をみようぜ
2.デーデ
3.星の砂
4.孤独な旅人
5.悲しみの果て
6.四月の風(ファーストバージョン)
7.愛の日々
8.過ぎゆく日々
9.明日があるのさ
10.真冬のロマンチック
11.珍奇男
12.夜と朝のあいだに…
13.ゴクロウサン
14.Baby 自転車
15.うれしけりゃとんでゆけよ
16.OH YEAH!(ココロに花を)
17.お前の夢を見た(ふられた男)
18.花男
EN1.ハナウタ~遠い昔からの物語~
EN2.ファイティングマン

2CDについては、もちろんリマスターが施されているわけですが、30年のキャリアを30曲にまとめるわけですから、「あの曲がない」「あの曲も収録して欲しかった」という声が挙がるのは目に見えていました。実際、Amazonのカスタマーレビューではそういう声がちらほらあるようですが、それを言い始めたらキリがないワケですよ。ここは「宮本氏の選曲だから」と納得しましょうよ。

また、DVDに関しては、初回限定盤と完全受注生産盤の内容が異なっています。初回限定盤のDVDには、これまで未発表だった様々なライブステージの模様も収録されており、実は完全受注生産盤に収録された2枚のDVDより、こちらの方が見所満載だということを、宮本氏本人がインタビューで語っていたようです。

その中にも収録されているデビューしたての頃の映像では(伝説の番組となった「eZ」という地上波放送で、かつて放映されたことがあります)、会場は客電が付いたまま、観客は座席から立つことも許されず、ステージ上では観客に対して喧嘩上等で立ち振る舞う宮本氏の姿が。そんな悪態を目の当たりにして、このバンドはきっとそのうち仲間割れするんだろうなあ、と思っていました。(ちなみにこの時のライブ音源は、25周年の際に発表された「THE ELEPHANT KASHIMASHI」のデラックス盤にノーカットで収録されています。)

それが気がついたら30年間、一度たりともメンバー変更を経ることなく、4人でここまで駆け抜けてきました。
不条理な社会、理不尽な力に対する抵抗から、怒りに満ちた力を放出し続けた80年代、90年代。
やがて、そんな不条理な社会や力の中で、もがき苦しみ、そして戦い続ける人々に対する力やバネへと形を変えていったような00年代以降。僕自身、彼らの楽曲に何度励まされ、勇気づけられたことか。

一言で30年とはいうものの、自分の身に置き換えてみると、地元の高校と大学を卒業し、期待を胸に飛び出した社会で辛酸を舐め、良き伴侶を得、肉親を失い、そして朧気ながら先のことを考え始めるようになるまでに30年という月日が経ちました。この間、悲喜交々ホントに色んなことがあり過ぎました。新しい友や仲間を得る一方で、失うことも多かった30年間。そう考えると、30年って実に長いものです。

そしてもうすぐ4月。桜の咲く季節になると、彼らの曲ってとても心に響くんですよね。「ハナウタ」「四月の風」「桜の花、舞い上がる道を」、この三曲だけで春を充分感じることができるぐらい、素晴らしい楽曲。とにかく彼らの曲が、とても胸に染みる季節です。

デビュー30周年を記念して、47都道府県を回る全国ツアーが3月20日の大阪城ホールを皮切りにスタートしました。青森県では、日本一の桜を誇る弘前公園、その一角にある弘前市民会館で(4月ではなく)10月に開催されるというのが、何とも感慨深いです。

彼らはこれから先も、ずっとずっと何かと戦い続けるのでしょう。
これからも、そんな戦い続ける彼らの力を借りながら頑張っていきたいなぁ…なんて、いかにもありがちな当たり障りのない所信表明でどうもすいません。


大澤誉志幸 Song Book



大澤誉志幸のデビュー35周年記念作品はアーティスト・シンガー“大澤誉志幸”と、ソングライター“大澤誉志幸”が同時に楽しめる作品。大澤誉志幸自身のヒット曲と、大澤誉志幸が提供した楽曲を自身によるセルフカヴァー・バージョンで収録したDISC-1、大澤誉志幸が提供した楽曲をオリジナル歌唱アーティストの音源で収録したDISC-2による、単なるベストとは一線を画す、ミュージシャン・大澤誉志幸の偉大なる35年の足跡を音で刻んだメモリアル作品。

なかなか面白いアルバムです。もっと言うならば、結構マニアックなアルバムです。
簡単に説明するならば、ベストアルバムとコンピレーションアルバムとの合体盤。既に彼の「ベスト盤」はたくさん発売されていますので、こういう作品を発表することができるのは、大澤氏のソングライターとしての手腕によるところでしょう。
DISC-1は、本人の既発の楽曲と、新録1曲に新曲2曲を収録。
DISC-2は、様々なアーティストに提供した楽曲を、オリジナルの楽曲のまま収録しています。鈴木雅之、吉川晃司、中森明菜、沢田研二、本木雅弘、八代亜紀、石川セリ、松田聖子、アン・ルイス、ビートたけしなど、こんなバラエティに富んだ名前が並ぶだけでも、何かマニアックっぽい感じがしませんか。この2枚で、大澤誉志幸のアーティストとしての片鱗と、ソングライター・プロデューサーとしての片鱗との双方を垣間見ることができる、という点で「面白い」と評させて頂きました。ただし、オールタイムな作品ではなく、かつとりわけDISC-2については80年代の楽曲がメインですので、正直「古っぽさ」を感じるのは致し方ないところかも知れません。

数年前に佐橋佳幸が発売したアルバムのコンセプト(あちらは、佐橋氏がギタリストとして参加した楽曲のオリジナルを収録)とか、岡村靖幸の「Me-imi」デラックス盤(こちらはオリジナルアルバムと他のアーティストへの提供曲を同梱)のコンセプトに似ている感じでしょうか。

ただ、これでも充分なんですが、何かが惜しいんですよ。
ワガママでどうもすいません。すいませんと言いつつ、欲を言うならば…。

  • DISC-1は、DISC-2の楽曲と同じ曲を、同じ順で収録して欲しかった。恐らくDISC-2に収録されている幾つかの提供曲は、これまで自身の曲として発表していないものもあるため、結果的には新曲となってしまうけれど、それはそれで聴いてみたかった。敢えて「そして僕は途方に暮れる」とか「ゴーゴーヘブン」といった代表作を外す、という選択肢もあったのでは。「単なるベストとは一線を画す」というのであれば、尚更そうして欲しかった。
  • それができないのであればDISC-1は、できれば今の音、つまり全曲セルフカバーで聴いてみたかった。渡り鳥ツアーの時の音源でもいいし、別にアコギ1本と打ち込みだけでもいいので、「今の大澤誉志幸」を敢えて主張して欲しかった。
  • こういった作品から新しいファンを発掘することはもちろん大切。でも、古くからのファンも一つよろしくお願いします。大丈夫、古くからのファンはマニアな人が多いはずですから。
  • DISC-2に収録された各楽曲について、楽曲を提供するに至った背景とか今だから話せる裏話とか、何かそういった解説があったら、もっと作品への愛着が深まって良かったのに。
  • もっとも、5年ごとに毎回毎回ベスト盤を発表されるよりは遙かにマシ。ただ、正直言ってこのアルバムが何を意図するのかがよくわからない。だって、もっと前に発表できたような内容だと思うし。だからこそ、何とも言えぬ中途半端な感じが滲み出ているワケですよ。

といった感じで、欲を言い出せばキリがないとはいうものの、これだけのボリュームがありながら新曲・新録がたった3曲のみっていうのは、やっぱりちょっと寂しいですよ。まあ、DISC-2の録り直しはほぼ不可能とはいえ、何かもう一ひねり欲しかったなあ…というのが率直な感想です。

ちなみにDISC-2には、現在同じレコード会社に所属している山下久美子が絡んでいる楽曲が3曲収録されており、長い間にわたって親交を深めてきたことを垣間見ることができます。お二人の最近の活動、共同名義のコラボレーションアルバムを2作発表したり、ディナーショーに一緒に出演したりしていたこととかは存じていましたが、実はそういう伏線、つまりレコード会社のあからさま過ぎる策略みたいなものがあるんじゃないか、と感じてしまったことに、ちょっとした違和感を覚えたのかも知れませんが。
まあ、それ以前にご本人が「昔のソングライティングのおかげで今でも別に好きなことやっても喰っていけるし、好きなことをやらせてもらう。」みたいなことを、前に観たライブでお話ししていたので、今更華やかな表舞台で日の目を見るような活躍を望んでいるわけではないんでしょうね。相変わらず斜に構えていて意地っ張りなのかも知れませんが、僕はそういうところ、嫌いじゃないです。
(以上敬称略)


エレファントカシマシ、30周年。


2017年3月21日、エレファントカシマシがメジャーデビュー30周年を迎えるそうです。

これに合わせ、デビューから直近までの全キャリアを網羅したオールタイムベストを発売するとのこと。
以下、公式サイトから。


2017年3月21日、エレファントカシマシはデビュー30周年を迎えます。それを記念して、キャリア史上初となるオールタイムベストアルバムのリリースが決定! その名も「THE FIGHTING MAN」。
デビュー30周年にちなんで30曲3,000円!宮本自ら260曲を超える楽曲群より厳選に厳選を重ねた30曲を収録。
このアルバムは、いわば“エレカシの基礎”であり、同時に決定盤となるベストアルバムなのです!!

全曲オリジナル音源よりマスタリングして収録!!

完全受注生産のデラックス版には、レア音源&デモトラックを収録したボーナスDiscに加え、1995年6月21日に行われ、その後の快進撃のきっかけとなった名曲「悲しみの果て」を初披露した下北沢シェルターのライブ映像と、あれから21年、デビュー30周年を前に行う下北沢シェルターでの奇跡のライブを完全収録!!
さらには、30年のバンドの歩みを凝縮したスペシャルブックレットを収録。

そして、一般販売される【通常盤】【初回限定盤】の他に、【UNIVERSAL MUSIC STORE限定 完全受注生産盤】が発売されるとのことで、こちらは1月20日までの予約受付となっています。

エレカシに関しては、2009年に発売されたEPIC、EMI、PONY CANYONそれぞれの自選作品集と、2012年に発売されたUNIVERSAL MUSICからのベスト盤、そして2013年のライブベスト盤の他、幾つかのベスト盤や編集盤が発売されています。正直申し上げますと、3月に発売される30曲入りのベスト盤に3,240円を払うんだったら、これらのベスト盤をコツコツ購入した方がいいと思うのであります。エレカシを嗜むという点において、個人的にはこちらの作品が基礎であり、決定版だと思っています。

その最たる理由として、バンドとしての変遷がレーベルによって異なるから。
創生→混迷→暗黒→転換→絶頂→凋落→停滞→復活→再生→成熟と、簡単に記すとこんな感じなのでしょうか、その時、その時代において曲調や歌詞にも変化が現れていて、それがバンドとしてのあり方をそのまんま表現している、そんな感じです。
しかも今回のオールタイムベスト、曲順が時系列になっていないため、これだとバンドの変遷がわからないわけですよ。何かもったいない!

ちなみに、彼らのキャリアの中でも僕が一番好きなのは、メジャーデビューを果たしたEPIC在籍の時代。彼らにとって決して恵まれた環境ではありませんでしたし、25周年の時にも同じ話題に触れていますので内容は敢えて割愛しますが。
・最近買った音楽

動画でもおわかり頂けるように、初期の頃のライブは客電が付きっぱなし、席を立つことは許されず着席のまんまで静聴、少しでも騒ごうものならステージ上から恫喝されるという、実に攻撃的、排他的かつ独裁的で、何でこんなバンドなんかに魅力を感じるんだろう、と思うところもありました。それでも今まで(決して熱心にではなく、何となく)聴き続けて来られたのは、恐らく英語の歌詞ばかりが並んだ軽妙かつポップなロックではなく、ドスンと重みの利いた音に乗せられた純和風で文学的な日本語の歌詞が耳に心地よかったのかも知れません。
もっとも、この頃のEPICにはエレファントカシマシのような「くせ者」「変わり者」がたくさん所属していましたが、一番輝いていた(と思われる)EPIC在籍時は何を出しても鳴かず飛ばずで、EPICを離れ、どちらかといえば一般受け、大衆受けするような楽曲を発表するようになってから、バンドとしての知名度がグンと上がるという皮肉も孕んでいたんですが。

初期の頃は反社会的というかアウトローというか、斜に構えている感じで、ネガティヴな感じの歌詞が比較的多かったんですね。「ファイティングマン」、「おはよう こんにちは」、「デーデ」…決して自分のことを投影しているわけではないのでしょうけれど、ボーカルの個性(アク)が強すぎて、初めて聴いた時にはガツンと頭を拳骨で殴られたような感じでした。「一発録り」の雰囲気がプンプン漂っていて、決して雑多ではないんだけれども、どこか投げやりっぽい感じ、だけど音作りはしっかりしているという。僕はそれを勝手にこのバンドの「味」なんだと解釈して聴いていたのですが、ドラマやCMのタイアップとして曲が使われるようになったのが約20年前。これが一つの転機となってバンドとしての地位を確固たるものとする一方で、外部のプロデューサーを迎えることで以前からの荒々しさが影を潜め、人生の賛歌みたいなポジティヴな楽曲が多くなっていったこともあり、何となく違和感を覚えたのも事実です。ドラマやCMで使われてヒットした曲も色々ありますが、それまでのバンドのカラーが損なわれてしまった、強いていうならば没個性的といいましょうか、商業音楽っぽいといいましょうか、そういうのもあんまり好きになれなかったですし、この頃を境に「エレカシ、エレカシ」と、初期の頃の彼らを知らない連中がこぞって囃し立てていたのも、何かイヤだったな。

それでも、30年もバンドをやっていく中で、一度もメンバー変更することなくここまでやってきたというのだから、この4人はかなり強固な絆で結ばれているのでしょう。

…と、何かデビューから知っているようなディープなファンを装っていますが、実は私、今まで彼らのライブを一度も生で観たことがないので、いつか機会があれば観てみたいと思っています。ちなみに今日は日本武道館で新春ライブが行われ、3月20日は大阪城ホールで30周年記念ライブが行われるそうです。

しかし、観たい観たいと口では軽々しくいうけど、行動しなければ叶うわけがない。手あぐら組んで黙り決め込んでいたって夢は叶わない。夢は自分から引き寄せるもの。夢の実現のために、行動した者の夢が一番最初に叶う。夢って、そんなもんでしょ。

…いやでも、さすがに3月20日(月・祝)の大阪は、年度末が近すぎてちょっと無理か。残念。