月別アーカイブ: 2017年11月

読破苦な独白。今日は毒吐く。

久し振りの内心吐露。今日の毒素感想文は、原稿用紙約6枚。国語の先生にポメラニアン、いや誉められますように。

清々しい気持ちで週明けを迎えるはずだったのに、月曜日は何だか気が重かった。いや、重いのは気だけではなく、足取りも頭もだった。

これまでも勉強会に参加した後は、大体こんな気分、心境に苛まれる。勉強会だけじゃなく、仕事ならぬ私事で参加したフォーラムやワークショップのあとも同じ。でも、何でこんな感じになるのか、何となく理由はわかっている、つもり。

11月4日に開催された北秋田市での東北OM勉強会、個人的に印象的な場面が一つあった。
トークセッションの後の質疑応答、大学1年だという男子学生がマイクを握った。大学1年生でありながらこういう場に足を運ぶという意欲に驚きつつ、彼の質問に耳を傾けた。

自ら行動を起こすべくFacebookやLINEなど、ネットで色々繋がりを持とうと周囲を誘っても、周囲の反応が鈍く、何とかしたいと思うがどうにもならず、もがいている。もっと周囲を動かすためにどうすればいいかアドバイスを欲しい、といった趣旨。(リアルな関係構築すら希薄になっているというのに、ネットの関係構築でもこのようでは、ホントこの先どうなるのだろう、とオッサンは少し心配になった。)

この質問に対する回答。
周囲の全員を一人で動かすなんて考えないで仲間を見つけろ。人間の総量(エネルギー)は人生皆平等だと思っている。最大限発揮するのは、20代かも知れないし30代かも知れないし、もっと後かも知れないし。だから今、焦る必要は全くない。

その回答を聞き、そうそう、わかるわかる、と頷きつつ、さて自分はどうだろう?と考える。
実のところ、あれやこれやと一人で悶々と考えても、それを行動に移す勇気がない。

なぜなら、未だに失敗が怖いから。

失敗を考えている時点で、自分なりの結論、着地点はある程度出来上がっているということだろうか。
否、46歳にもなってそもそも自分の思考を次の形にすることができていない、つまり次の形に繋げるような思考回路ができあがっていないだけの話。

奔走する父の背中を見ながら、漠然とまちづくりへの興味を持ち始めた20代。

自分に何ができるのか悶々としたまま、追いかける背中そのものを失った30代。

外との繋がりに救いを求めながら、他人の思考、発想に乗っかり続けている40代。

何をすべきか、具体的な構図を描いてすぐ行動に繋げる人たちへの羨望。

そういう人たちにお目にかかれるだけで、自分の満足感が得られている。

凄いなあ、凄いなあ。口を突いて出てくる言葉はこればかり。

そんな凄い人たちに、単に会いたいだけなのかも知れない。それだけで I Can Get Satisfaction なのですよ。
一体、自分は何をしたいのだろう。この先、何を望んでいるのだろう。何かいいアイディアは生まれないかなと、今日も同じところでスキップしながらずっと円を描いている。

とはいえ絵に描いた餅は所詮食べられないし、味もわからない。
もっとも、僕の考えていることの本質なんて、もの凄く薄っぺらくて、誰もが考えそうな当たり障りのないこと。あの業界のたちが切りまくる空手形みたいなものか。

待てよ、そもそも湯水の如くアイディアが生まれてくるような頭脳は持ち合わせていなかった!

結果ありきで落としどころを最初から探るのは、いかにも打算的な、萎縮した行政の常套手段なのかな。

結果ではなく、取りあえず、何となくやったという過程に対する満足感。

行政主導の事業なんて3年も続けば終わる。仮にそれがいい事業でも、行政から民間へノウハウが受け継がれないまま、幕を下ろす。そうならないようにするためには、どうしたらいいだろう?

…いや待てよ、そもそも他のことには口を挟めない。これは縦割り行政の弊害か。いや違うか。
漠然と思い描くビジョン。実は自分が一番打算的になっていないか。

興味のあることや、好きなことをやっていく延長で地域が盛り上がれば、それはそれで最高じゃない。

ということは、一番手っ取り早いのは、自分の興味を少し拡げてみればいいってことなのかな。

大風呂敷を広げたような話だけれど、地域に潤いを還流したい。どうせなら、みんなが笑顔になるような、そんな仕掛け。下世話な言い方をするならば、外貨、すなわち県外客の財布の紐を少しでも緩め、地元にお金を落としてもらえる仕掛けを考えればいいだけなのだろうか。お金だけじゃ得られないものもあるはずだよな。
水面に投じた石は良かれ悪かれ波紋を拡げる。どうせなら一石五鳥ぐらいになればいいのに。問題は、その石をどこで調達するか。コンビニでは売っていない。

しかしそれは本当にやってみて楽しいこと?周囲に伝播する?やってよかったと感じる?
石はどう転がるかわからない。先の見えない動き。だから面白いし、楽しい。でも、面白くなかったら、楽しくなかったらどうしよう。

待てよ。結局僕は石を転がしたいのか、投じたいのか。再び逡巡と躊躇の堂々巡りが始まる。

水やりを間違えなければ、数年前に撒いた種でも、枯れることなく着実に芽を出す。すぐ結果を求めるのはナンセンス。
更に追肥をしてそれを育み、小さな花が咲いたら、最高。
そうだ、いきなり大きな花束を作ろうなんてことを考えるからダメなんだよ。花束になる花を一つ一つ育ててこそ、やりがいってものなんじゃないか。

綺麗で大きな花束も、まずは小さな種から…。

おっと、僕が手にしていたのは石じゃなくて、種だったのか。
どうせ最初から誰も期待していないし、何の信望もないんだから、開き直ればいいのだ。

他人事を自分事に。

まずは原点に立ち返り、自分の周りのことからもう一度考えてみようかな。

結局は、やってみなければわからないってことか。

何事も、No Attack, No Chanceだな。一歩踏み出す重要性、大事ですよ。

ところで、賛同する仲間はいるか?同じ方向にベクトルは向いているか?一番の肝は、ここに集約されるんだろうね 。

そういう意味で例えるならばオラは、黒ビールみたいなマイノリティ。

そのこころは。

主役は張らなくとも、脇役、引き立て役にはとことん徹しますよ。

「東北まちづくりOM第29回勉強会 in 北秋田」参加メモ

今日の投稿、原稿用紙で約12枚半です。長くてホントすいません。

久しぶりに東北まちづくりオフサイトミーティング(東北OM)の勉強会に参加してきました。
僕にとって東北OMは同じ公務員仲間との繋がりの場であり、自己研鑽の場であり、そして自分の志を高める場。

…とはいえ、東北各地で既に29回も開催されているのに、実は勉強会に参加したのは今回が3度目。にもかかわらず、久しぶりにお会いした皆さん、本当に優しいのですよ。今回は何だかその優しさに触れたくて、勉強会に参加したのかな。
お会いするのが2度目という方もいましたが、まるで旧知の友と再会したような、そんな感覚でした。離れていてもそれぞれがFacebookなどを通じた発信を見聞きしているからなのでしょうね、きっと。
さて、今回の勉強会は秋田県北秋田市での開催。このブログでも何度か紹介している通り、北秋田市は僕の母の生まれ故郷(母は旧合川町の生まれ)で、現在も親戚が生活しているということで、第2~3の故郷と思っています。なんで「第2~3」なのかというと、僕が生まれ、現在も居住しているのは青森県弘前市なのですが、父の生まれ故郷が青森県中津軽郡西目屋村で、こちらも第2~3の故郷という位置づけ。その辺が自分の中でちょっと曖昧になっておりまして。

…あ、そうだ。

北秋田市も西目屋村も、僕にとっての「準ふるさと」ということにしましょう。

ところで、皆さんに質問です。
北秋田市と聞いて何を思い浮かべますか。

はい、多分何も浮かんでこないという人の方が多いのではないでしょうか。
もともと4つの町(鷹巣、森吉、阿仁、合川)が合併して市制施行されたのが2005年のこと。秋田県全体の10%以上を占める面積を保有していますが、その大半は、山。市の中心部(鷹巣)は北部に位置しており、そこから市を縦断する形で「秋田内陸線」という第三セクターの鉄道が走っています。ただし、鷹巣と森吉と合川の中間みたいな場所に大館能代空港があり、羽田からは1時間10分、空港から鷹巣まではわずか10分で辿り着けます。つまり、ざっくり計算すると羽田から1時間30分もあれば北秋田市に来ることができる、ということに。交通の利便性がいいのか悪いのか、よくわかりませんが…。

僕はどちらかといえば北秋田市に対してはネガティヴなイメージしか持っていなくて、かつてそれぞれの町にあった公立高校が統合されたことで、合川や森吉には若者の影が見えなくなったり、少子化の流れから小学校もどんどん統廃合されたり、(これはどこも同じだけれど)高齢化が物凄いスピードで進んでいたり、人口流出に歯止めがかからなかったり、町の中にあった大きな病院が、車がなければ行けないようなとんでもない場所に移転したり、僕が小さかった頃は賑やかだったJR鷹ノ巣駅前も、今はすっかり閑散としていたり…。

大変申し訳ないけれど、「北秋田市はこの先に何の光明を見出せるのか」と思っていたのですが、これは「第2~3の故郷」を語る部外者がとやかく言う話じゃないですね。本当にすいません。

さて、北秋田市で勉強会が開催されるのは今回が2度目。前回は何かの事情で足を運ぶことができませんでした。再び勉強会が北秋田市で開催されることを知り、これは何とか都合をつけて足を運ばなければならない、と。まさに「万障繰り合わせて」参加する、といった感じ。

こういう勉強会に参加するに当たっては、そのテーマや講演内容が自分の興味のあるものか、というところも大事なのかとは思うのですが、多分、気乗りしていない時に参加しても得られるものは少ないだろうし、もしかしたら参加したことを後悔してしまう、そんなことだってあり得るわけです。何よりも一番は「タイミング」なのだろうな、と。うまく言えませんが、自分の興味や気持ちのベクトルがそちらの方に向きかけているときに開催される勉強会。それに参加するということがまさに「タイミング」なのでしょう。だから今回は、行けると決まった時からかなりテンションが上がっていました。

前置きが長くなりましたが、今回の内容はこんな感じ。

・オープニングトーク「なぜ、ネットワークが必要か」後藤好邦さん
・特別公演「”新米”男子の新たな挑戦!」武田昌大さん
・基調講演「地方の夜明け~樋渡社中みちのく北秋田編~」樋渡啓祐さん
・フロア参加型スペシャルトークセッション
樋渡啓祐さん×武田昌大さん×後藤好邦さん(コーディネーター 松田淳子さん)

この日は弘前市役所のエリちゃんと平川市役所のノゾムさんが同乗し、僕の車で鷹巣へ。大館鷹巣道路が開通したことで、北秋田は本当に近くなりました。
11時30分前、受付開始の30分も前に会場の「北秋田市民ふれあいプラザ コムコム」に到着、多目的ホールで会場の設営をしていた(仮)チーム秋田の皆さんへの御挨拶もそこそこに、設営のお手伝いを開始。程なく今日のオープニングトークを務める後藤さんや今回が「初めまして」となる山形県のお二方も現れたので、会場の設営を秋田の皆さんにお任せして、近くの中華料理屋さんにて6人で昼食。

昼食を終えて会場に戻ると、既に数十名の方が集まっていました。頂いたチラシを見ながら、これはきっと緊張を和ませるためのネタだな、と確信。誤りじゃないですよね、絶対。

この日、松田さんから会場の撮影をお願いされていたので、いったいいつの時代のカメラよ、という例の低スペック一眼レフを持参し、会場内をパシャパシャと。最前列に陣取っていたのに、おもむろに立ち上がってはうろうろと徘徊しているようにも見えたんじゃないでしょうか。目障りになってしまったのではないかと。本当にすいませんでした。

まとめるのがあまり得意ではないので、皆さんのお話を聞きながら走り書きのように書き取ったメモを参考に、内容の振り返りと感想を少々。画像は撮影者の特権です。

後藤さん(山形市企画調整課交通企画係長)
・北秋田での開催は2回目。
・東北OMは、敷居は低く、志は高く。
・当初は3人で何かしたいね、とスタート。(後藤さんは東北OMの代表ではなく、発起人。)
・3人が28人、それが850人に増えた。(今はもっといるはず。)
・期日を決めて動くことが重要。
・TTP(徹底的にパクる)が大事
・ネットワーク成功の秘訣は色々あるが、要職に就く50代の先輩方が活動をサポートしてくれていることに気付いた。
・大事なことは、ネットで繋がることじゃなく、Face To Face。


(どうしても揃い踏みで撮影したかった1枚。
左から私、後藤さん、松田さん、ノゾムさん)

武田さん(32歳。地元を思う熱量がハンパない)
・鷹巣生まれ鷹巣育ち。18歳の時に地元を離れる。
・鷹巣は遊ぶところがなかった。
・憧れの都会生活。歌舞伎町で若者が秋田に関するイベントを行っていたことに感銘。
・転機は8年前。シャッター街となった地元に愕然。
・何とかしたい。でも秋田のこと、地元のこと何も知らなかった。
・秋田の価値、いいものいっぱいある。
・まちを読み解くキーワードは3KM2(平方キロメートル)。
・この数字は、半径1キロの円で囲まれたエリアの面積。
・それは、概ね10分で歩ける範囲。この範囲でまちづくり。
・3KM2→3Kは「価値」「課題」「解決」。M2は「Member(仲間)」「Money(お金)」
・知ってもらう、来てもらう、住んでもらう。
・ときめく仕組み。価値を見つける→イケてる化。地域にデザインを。

樋渡さん(最初はステージ上で、のちに降壇して参加者と同じ位置で)
・北秋田、いいところ。空港から近い。羽田から1時間10分。移住のメッカになり得る。
・官民手を組んだ地方創生モデルを。
・北秋田市内に事務所を立ち上げたい。
・大人の自虐は子供に伝播する。(「何もない。」とかネガティヴなことをいうの、控えましょう。)
・大切なこと3つ。組む、スピード、コンパクト。
・旬の人と組むこと。
・考える前に動く。ただし準備を徹底する。相手のことも徹底的に調べる。
・人生の大勝負は名刺を渡す前の5秒。
・万人受けの必要なし。ニッチをリッチにする(誰もやらないことをやる)。
・パクチーに目を付けたのが5年前。今、パクチーブーム。
・武雄市の図書館が成功したのは、1人1人にストーリーがあったから。
・ストーリーが重なってストーリーズ、それがヒストリーになる。
・無風が一番辛い。逆風の時は少し向きを変える。
・失敗は、体幹を強くする。

トークセッション(観客と同じ目線で話すのがとてもよかった)
・行政の発信力は侮れない。
・官か民かではなく、「人」。人の集まりが「公」。官民関係ない。
・主体的に動くこと。ギブ&ギブ。
・ロジカルではなく、フィジカル。
・人がやらないことをやる。それをトップがやると、皆ついてくる。
・人間は総量が一緒だと思う。
・繋がりが拡がれば可能性が広がる。
・自分にないものを補うのは、仲間。
・次回の勉強会には、熱量を感じる人をもう一人連れてきて。
・北秋田はいいところ。これからますます盛り上がる。

ここに記した内容はほんの一端で、実際にどういった取り組みをされたのか(あるいは今もされているのか)という紹介があったり、「ここだけの話」としてあるキーワードが飛び出して会場の皆さんが何やら騒然となったりで、正直、北秋田でこんなに熱を帯びたお話を聞くことになるとは思ってもいませんでした。
武田さんのお話を聞いて、秋田県も北秋田市もまだまだ捨てたもんじゃないんだな、こんな凄い活動をしている人がいるんだな、ということに驚きましたし、武田さんの思いに共感する方が増えるとか、そこから色々派生していくと、これまた面白いことになっていくんだろうな、と思いました。

樋渡さん。マスメディアなどでお名前やお姿を何度も拝見する中で、強面でおっかなくて面倒くさそうなオッサン、という印象を抱いていましたが、イメージが180度変わりました。
お話が本当に面白くて、あっという間に引き込まれました。もっとお話し聞きたかったなあ、と思うぐらい。(本音を言えば、もう少し最近のお話をもっと聞きたかったです。)
そして、オッサンなんて失礼なことを言いましたが、実はほぼ同年代なんですよね(樋渡さんが学年一つ上)。

一つの気づきは、パワーポイントなどを使ったスライドって、伝えたい要点だけを書きだせばいいんですよね。行政のそれって、何でも詰め込み過ぎで、スクリーンに映し出しても何が何だかわからない、といったケースがあると思いませんか。結局紙で同じ資料を用意したりして。

それにしても久しぶりの勉強会、ホント参加してよかったです。自分が今すぐ何か行動を起こすというわけではありませんが、凝り固まっていた頭の中をリフレッシュする、いい機会を頂きました。帰りの車中での「振り返り」も盛り上がりました。タイミングって本当に大事です。

これ、個人的にふと感じたこと。
青森県、津軽地方に限ったことではないけれど最近「移住」に力を入れていて、受け入れるに当たって用意すべきは単なる「住むところ」なのかそれともちゃんと「住めるところ」なのか。(この違い、わかりますかね?)
もう一つは、武田さんの「いいもの」のお話を聞きながら、最近「津軽塗」を使う人が減ってきているのかなあ、ということを思い出しました。青森市や弘前市にあった工芸屋さんが相次いで閉店の途を辿り、果たしてこれから「津軽塗」はどうなっていくんだろうか、ということぼんやりと考えた次第です。(まあ、僕が考えるまでもないことでしょうけどね。)

最後に、今回の勉強会の開催に尽力された松田さんをはじめ秋田県の皆さま、本当にお世話になりました。熱気に満ちた雰囲気で、帰路に就いてからもテンション上がりっぱなしでした。最後の仕掛け、涙こらえるの必死でしたが、周囲で皆さんが感涙の涙を流しているのを見て、一緒に泣けば良かったと今更ながら後悔しています(笑)。ありがとうございました!

ステップアップLOVE / DAOKO ×岡村靖幸

10月18日に発売されて以降、恐らくこれほどリピートしても聴き飽きないシングルCDに出会ったのは久しぶりかも、いや、初めてかも知れません。DAOKO×岡村靖幸による「ステップアップLOVE」。DAOKOのメジャー4作目として発表されたシングルで、テレビアニメ『血界戦線 & BEYOND』のエンディングテーマだそうですが、すいません、アニメに関しては全く疎いので、ここでの紹介はありません。

ちなみにこの作品、「期間限定盤」「通常盤A」「通常盤B」の3種類が用意されており、期間限定盤にはDVDが同梱、こちらには「血界戦線 SPECIAL EDITION MUSIC VIDEO」が収録されているそうです。

3種類の作品のカップリング曲がすべて異なっており、期間限定盤が「TOKYO-KICK-ASS」(DAOKO)、通常盤Aが「カルアミルク」(DAOKOによる岡村靖幸のカバー)、通常盤Bが「忘らんないよ」(岡村靖幸の新曲)となっています。

ちなみに私、通常盤二種類を購入しました。今思えばデジタル音源を購入するという手法もあったのですが、CDというモノ、形としてのプロダクツを手にしたかったのです。だってほら、アルバムはstill matterなのですよ。(検索→「プリンス」「アルバムは大事」)
タイトルナンバーがダブっているとはいえ全く後悔はしておらず、それぞれを楽しんでおります。

ちなみに通常盤AのジャケットはDAOKO、Bは岡村靖幸が登場しています(期間限定盤には血界戦線のキャラクター)。そして、A,Bそれぞれの裏には何かを形どった片手が写っており、2枚を繋ぎ合わせるとハートが完成するという仕掛けがされています。

さて、まずは通常盤A,Bそれぞれのカップリング曲から紹介。
Aに収録された「カルアミルク」は前述のとおり岡村靖幸の名曲をDAOKOがカバーしたもの。ただし岡村靖幸本人はこの曲には一切参加しておらず、ORESAMAというユニットの小島英也が編曲を担当しています。原曲の良さをそのまま踏襲しつつ、DAOKOのふんわりとしたボーカルが重なったナンバー。
例えとして適切かどうかはわかりませんが、25年以上も前にブームとなった「渋谷系」を彷彿させる感じ、といったところでしょうか。
ただし、以前からラッパーとしてのDAOKOを知るファンの方は、今回の楽曲には少々違和感を覚えているらしく…。とはいえ僕みたいに今回初めてDAOKOのことを知ることとなった人も恐らくたくさんいるわけで、そういう意味では、このことがDAOKOのファン層を少し広めた、興味を持ついいきっかけになった、という見方もできるんじゃないかなあ、と思うのですがどうでしょうか。(それは、岡村靖幸を初めて知ったDAOKOファン然り、です。)

もうひとつ、こちらは岡村靖幸の書下ろしの新曲「忘らんないよ」。
最初アコースティックギターの弾き語りみたいな雰囲気で始まったので、お、これはこの調子で終わるのかな?と思ったら、いい意味で期待を裏切られました。会心の名曲なんじゃないか、と思うぐらい琴線に触れたような感じ。

何が驚いたってこの曲のMV。
「We Love Television?」という萩本欽一が出演したドキュメンタリー映画の主題歌なのだそうですが、この映画の監督も務めたテレビプロデューサーの土屋敏男(電波少年のTプロデューサーとして有名な人)がMVの初監督を務めたほか、萩本欽一と岡村靖幸が共演しています。
むかし、萩本欽一とコンビを組んでいた坂上二郎が、ユニコーンと手を組んで(アーティスト名は「坂上二郎とユニコーン)、「デーゲーム」という曲を発表してヒットを飛ばしたのですが、なんかこの曲はその坂上二郎に対するアンサーソングみたいな感じ。この曲の歌詞がまた、なんか切なくていいんですよ…。しみじみするような、そんな曲です。それでは、MVをどうぞご覧ください。

さて、タイトルナンバーの「ステップアップLOVE」、こちらは岡村ワールド全開といえばいいのでしょうか。作詞はDAOKOと岡村靖幸。恐らく主にラップをDAOKOが、韻を踏んだ独特な歌詞を岡村靖幸が担当したのではないかと勝手に推測。ダンサブルでキャッチーなサウンド(あ、表現が古いですか?)に絡みつくような歌詞、いいです。この曲はこの二人だからこそ成立する楽曲です…と断言します。

そして、こちらのMVも素敵です。
舞台がバスケットコートというのがいかにも岡村靖幸らしく、ここでDAOKOと岡村靖幸によるダンスバトルが始まります。おお…岡村ちゃん踊ってるよ!みたいな。振付を担当したのは、Perfumeや星野源の「恋」でいわゆる”恋ダンス”の振り付けを担当したMIKIKO。よく見ると「あ、Perfume…」と思うようなシーンがありますので、目を凝らして観てください。

ということで楽曲もMVも素晴らしい仕上がり。岡村靖幸はアルバム「幸福」の発売以来しばらく音沙汰がなかったので、個人的には「快作」に出会ったような気分です。