Daily Archives: 2017-11-03

ステップアップLOVE / DAOKO ×岡村靖幸

10月18日に発売されて以降、恐らくこれほどリピートしても聴き飽きないシングルCDに出会ったのは久しぶりかも、いや、初めてかも知れません。DAOKO×岡村靖幸による「ステップアップLOVE」。DAOKOのメジャー4作目として発表されたシングルで、テレビアニメ『血界戦線 & BEYOND』のエンディングテーマだそうですが、すいません、アニメに関しては全く疎いので、ここでの紹介はありません。

ちなみにこの作品、「期間限定盤」「通常盤A」「通常盤B」の3種類が用意されており、期間限定盤にはDVDが同梱、こちらには「血界戦線 SPECIAL EDITION MUSIC VIDEO」が収録されているそうです。

3種類の作品のカップリング曲がすべて異なっており、期間限定盤が「TOKYO-KICK-ASS」(DAOKO)、通常盤Aが「カルアミルク」(DAOKOによる岡村靖幸のカバー)、通常盤Bが「忘らんないよ」(岡村靖幸の新曲)となっています。

ちなみに私、通常盤二種類を購入しました。今思えばデジタル音源を購入するという手法もあったのですが、CDというモノ、形としてのプロダクツを手にしたかったのです。だってほら、アルバムはstill matterなのですよ。(検索→「プリンス」「アルバムは大事」)
タイトルナンバーがダブっているとはいえ全く後悔はしておらず、それぞれを楽しんでおります。

ちなみに通常盤AのジャケットはDAOKO、Bは岡村靖幸が登場しています(期間限定盤には血界戦線のキャラクター)。そして、A,Bそれぞれの裏には何かを形どった片手が写っており、2枚を繋ぎ合わせるとハートが完成するという仕掛けがされています。

さて、まずは通常盤A,Bそれぞれのカップリング曲から紹介。
Aに収録された「カルアミルク」は前述のとおり岡村靖幸の名曲をDAOKOがカバーしたもの。ただし岡村靖幸本人はこの曲には一切参加しておらず、ORESAMAというユニットの小島英也が編曲を担当しています。原曲の良さをそのまま踏襲しつつ、DAOKOのふんわりとしたボーカルが重なったナンバー。
例えとして適切かどうかはわかりませんが、25年以上も前にブームとなった「渋谷系」を彷彿させる感じ、といったところでしょうか。
ただし、以前からラッパーとしてのDAOKOを知るファンの方は、今回の楽曲には少々違和感を覚えているらしく…。とはいえ僕みたいに今回初めてDAOKOのことを知ることとなった人も恐らくたくさんいるわけで、そういう意味では、このことがDAOKOのファン層を少し広めた、興味を持ついいきっかけになった、という見方もできるんじゃないかなあ、と思うのですがどうでしょうか。(それは、岡村靖幸を初めて知ったDAOKOファン然り、です。)

もうひとつ、こちらは岡村靖幸の書下ろしの新曲「忘らんないよ」。
最初アコースティックギターの弾き語りみたいな雰囲気で始まったので、お、これはこの調子で終わるのかな?と思ったら、いい意味で期待を裏切られました。会心の名曲なんじゃないか、と思うぐらい琴線に触れたような感じ。

何が驚いたってこの曲のMV。
「We Love Television?」という萩本欽一が出演したドキュメンタリー映画の主題歌なのだそうですが、この映画の監督も務めたテレビプロデューサーの土屋敏男(電波少年のTプロデューサーとして有名な人)がMVの初監督を務めたほか、萩本欽一と岡村靖幸が共演しています。
むかし、萩本欽一とコンビを組んでいた坂上二郎が、ユニコーンと手を組んで(アーティスト名は「坂上二郎とユニコーン)、「デーゲーム」という曲を発表してヒットを飛ばしたのですが、なんかこの曲はその坂上二郎に対するアンサーソングみたいな感じ。この曲の歌詞がまた、なんか切なくていいんですよ…。しみじみするような、そんな曲です。それでは、MVをどうぞご覧ください。

さて、タイトルナンバーの「ステップアップLOVE」、こちらは岡村ワールド全開といえばいいのでしょうか。作詞はDAOKOと岡村靖幸。恐らく主にラップをDAOKOが、韻を踏んだ独特な歌詞を岡村靖幸が担当したのではないかと勝手に推測。ダンサブルでキャッチーなサウンド(あ、表現が古いですか?)に絡みつくような歌詞、いいです。この曲はこの二人だからこそ成立する楽曲です…と断言します。

そして、こちらのMVも素敵です。
舞台がバスケットコートというのがいかにも岡村靖幸らしく、ここでDAOKOと岡村靖幸によるダンスバトルが始まります。おお…岡村ちゃん踊ってるよ!みたいな。振付を担当したのは、Perfumeや星野源の「恋」でいわゆる”恋ダンス”の振り付けを担当したMIKIKO。よく見ると「あ、Perfume…」と思うようなシーンがありますので、目を凝らして観てください。

ということで楽曲もMVも素晴らしい仕上がり。岡村靖幸はアルバム「幸福」の発売以来しばらく音沙汰がなかったので、個人的には「快作」に出会ったような気分です。