日別アーカイブ: 2018-05-08

理想の形は綺麗な多面体 #ランニング

昨年に引き続き、GW期間は「集中講義」と称し、とある練習に出向いていた。
足りないものを探りに行くというか、補いに行くというか、確認しに行くというか、打ちのめされに行くというか、何というか。

連休最終日の日曜日、練習を終えて帰宅すると母が半ば呆れたような口調で呟いた。
「毎日朝からご苦労さん。よく続いてるねぇ…」

熱しやすく醒めやすい、そんな僕の性格を見越してのことだったのだろうか。
「まあな…確かに。うん…。」と思わず語尾を濁していた。

早いもので、ジョギングからランニング、そしていつしか一端(いっぱし)のマラソンランナーとなってから6年目のシーズンに突入した。既に今季最初のレースを終え、今週末の仙台国際ハーフマラソンに照準を合わせている他、その後も既にほぼ毎月のように10km~ハーフの大会にエントリーしている。

母が呟いたように、確かに醒めやすい僕の性格を持ってすれば、既にランニングの世界から「足を洗っていても」おかしくないのだが、珍しく長続きしているという状況にある。

親戚一同が無言になるぐらいの圧倒的な運動音痴で鳴らした自分としては、それを見返したいという気持ちが47歳の中年になった今も、心の中に燻っているということもある。

多分、親戚が住んでいる地域の大会にばかり出場するのは、双方の「生存確認」はもちろん、自分だってそれなりに運動することができるんだということを認めて欲しい、という欲というか願望がどこかにあるからだと思っている。

そして何よりも、これが健康を維持していると思えば、なかなか止めるワケにはいかない。止めた途端に、ほら見たことか。と言われるのもイヤだし。

「50歳までにはフルマラソンで3時間切り」という目標を掲げている以上、最低あと3年は続けなければならないな、と考える一方で、願わくば一刻も早くその目標に近づきたい、と思うこともある。かといって仕事や家のことを疎かにしちゃならない(もう充分疎かにしているのかも知れないけれど)。

なかなか走る時間が割けずにイライラしてくることもあれば、時間があるのに何だか走ることが面倒だな、と気乗りしない時もある。まあ、所詮は素人ランナーだし、そういう日があって当たり前なのだが。

「心技体のバランスが取れている。」

最近、よく耳にする言葉だと思う。特にスポーツの分野では使われがちな言葉だと感じるのは、多分海を渡った二刀流の選手の活躍があるからだろう。

ランニングにおいて、(いや、ひょっとしたらランニングのみならず仕事や家のことも含めて)僕が思い描いていた理想型は、かつては正三角形のようにバランスの取れた「心技体」だった。例えばどこかが極端に突出したり、逆にどこかがベッコリと潰れることで、歪(いびつ)な三角形にならないように、それなりに注意を払ってきたつもりだった。
しかし、今まで綺麗な正三角形の状態で走ることができたのは、一度もなかったし、生活面においてもそれは同じことだ。正三角形どころか、二等辺三角形すらも形づくられていなかったんじゃないだろうか。。

というか、多分そんな正三角形の状態で走っていたら、とっくにフルマラソンで3時間を切るようなエリートランナーになっていたことだろう。大体にして、そもそも箸にも棒にもかからないような運動音痴の中年が、エリートランナーになりたい、なんて放言するんだから大したモノだと思いませんか。…思わないですよね、ハイ。

どこかに故障を抱えていたり、気乗りしなかったり、そもそも体調が万全ではなかったり、なかなかうまくいかないところがマラソンの難しいところであり、面白いところでもある妙味。人生をマラソンになぞらえる人もいるけれど、所詮人生もマラソンもそんなもんですよ。どうですか、皆さん。

さてこの心技体、正三角形が理想型ではないということをふと考え始めている。なぜなら、心・技・体それぞれが異なる多面体を持っていると思うから。


(そうそう、今年のハートは形が悪かった)

つまり、こういうことだ。

心の面でいえば、端的に表すならば喜・怒・哀・楽。これだけで既に4面あることになる。
技の面だって、短距離走がやたらと速い人が長距離も得意だとは言い切れず、腕の振り方だったり着地だったり脚の運び方だったり、色んな技術を総じて鍛えなければならない。
更に体の面となれば、体幹や筋肉、骨格、更には内臓にまで気を配らなければならないことは、言うまでもなく。

そう考えると、一言で心技体といっても、実は色んな点が結び合って線となり、それが面を形成して複雑な多面体になって初めて、心技体のバランスを保つ、とは考えられないだろうか。


(さくら以外の枝でハートが作られている感じ。これって…)

ちなみに、点と線、線と面の関係は、これまでも何度か持ち出してきた話。

…何かまた七面倒くさそうな語駄句が始まったぞ。と思った方もいることだろう。

いいんです。

47歳の運動音痴は、日々こんなことを考えながら、この先の戦況を踏まえ、どういう言い訳に結びつけようか思案しているのだから。

ここ数年恒例となっていた弘前城リレーマラソンへの不参加が決まり、10月に開催される弘前・白神アップルマラソンへの出場も微妙な状況となりつつある昨今。

限られた時間と機会の中でいかに効率良く、かつより効果的なパフォーマンスを発揮するか、今はそちらの方に意識がかなり向き始めている。

どうやら今シーズンも、メンタルを鍛える機会が増えそうだ。理想とするような多面体を作り上げるまで、わずか3年という時間では到底足りなさそうな気がしてきた。


(独りとはいえ桜吹雪の舞う中を走るのは、何だか感動的だった。)