魔物と仲良くなりたい – 北海道マラソン2018 -(前篇) #北海道マラソン2018

あとになると忘れそうなので、まずは御礼を。

今回の北海道マラソン、弘前公園RCのウェアに身を包み、「No Apple, No Life」を胸に掲げて走っていたところ、驚くほどたくさんの沿道の方から「青森頑張れ!」「No Apple頑張って!」という声援を頂きました。札幌の地でも、多くの方に認知されているのだな、と感慨無量でした。この場を借りて、厚く厚く御礼申し上げます。本当にありがとうございました。

魔物の生息地として有名なのは、「甲子園球場」。
高校野球の時になると現れて、グラウンド上で「ちょっかい」を出すらしい。
しかし、誰一人としてその姿を見た者はいない。

これ以外にも魔物はあちらこちらに生息しており、特に勝負毎になるとどこからともなく現れて「ちょっかい」を出しているようだが、やはり目撃情報は報告されていない。

そりゃそうだ。だって、魔物なんていないんだから。
所詮魔物なんて、勝負毎を面白可笑しく伝えるために作り上げられた架空の存在であって、頭の中で作られた、単なる偶像に過ぎない。

しかーし。
その魔物の思うままに操られてしまったオトコが、ここに一名…。

台風崩れの温帯低気圧が相次いで北海道を通過した翌8月26日に開催された「北海道マラソン2018」。

マラソン出場とは別にもう一つの目的としていた、中学時代からの畏友が営む「ワインと欧風料理 おかげさまで」を3年ぶりに訪問。札幌中心部を流れる創成川の東側にあるこのバー、ワインだけではなくクラフトビールやさまざまな飲み物の他、ソムリエの資格を持つ店主が作る料理も絶品なので、札幌を訪れた際には是非訪問してみてください。お食事だけでもOK。

(主たる目的は、背後に飾られたプリTを届けること)

(店主、仕事しています。奥の間に先客3名がおりました。)

前回と同じく、彼の作った絶品「カルボナーラ」を堪能したあと、21時過ぎには就寝。ちなみにアルコールは4日間抜き、カフェインも1日抜いた。けれど、それが単なる気休めだってことは充分わかっていた。

宿泊先は、すすきのにある歓楽街、というよりホットスポットに程近い、元々ラブホテルを改装したホテル。(実際、周辺にはラブホテルや石鹸ランドなんぞが林立しておりました。)
色々突っ込みどころも満載だったけれど、部屋に電子レンジがあったのは本当に助かった。

(ちなみにシングルだけど枕が二つ。そういう部屋の使い方も「あり」らしい。)

大会当日は4時過ぎに起床、中島公園までジョグをしたあと、フルマラソン当日の恒例となった切り餅は、5個平らげた。

(中島公園で万歳の練習のつもりが、お手上げの練習に)

しかし、思った以上に涼しい朝だったこともあり、ちょっと身体が冷えたような感覚。湯船にお湯を張って身体を温めた。

コロコロと天気予報が変わる中、曇りだと聞いていたけれど、雲の切れ間から覗き込む太陽がやけに眩しい。8時15分にはいつもの場所で集合写真を撮影。さて、今回はどんなドラマが待ち受けているのだろうか。

それにしても、スタート直前で23度はちょっと暑すぎる。昨年も24度ぐらいあったので、そんなに変わりないということだろうか。朝方の天気予報では曇り、最高気温24度と謳っていただけに、照りつける日差しを恨めしげに遮るしかなかった。

5回目にして初となるBブロックからのスタート。すぐそこにスタートラインが見える。思った以上にタイムロスもなさそうだ。
9時、いよいよ号砲が打ち鳴らされ、レースが始まった。

MGC(マラソングランドチャンピオン)シリーズを兼ねたこの大会は、国内の有力選手が集まる。僕が注目していたのは、女子の鈴木亜由子選手。今回がマラソン初挑戦ながら、何かやってくれるんじゃないかと密かに期待(応援)していたら、見事初挑戦初優勝を果たし、MGCの出場権も獲得。本当におめでとうございます!

さて、僕もMGCの出場権獲得を目指して…ということは絶対にないが、スタートからいい感じでラップを刻み始めた。痛み止めが効いたのか、懸念していたアキレス腱の痛みもほとんどない。しかも、太陽が雲に隠れ始めたこともあり、いつも通り発汗量は凄いものの、順調過ぎるぐらいの走り出しだった。

しかし、ここで調子に乗るのは禁物。あとは何も考えず、黙々と淡々と走って行こう。そうすれば自ずと結果は付いてくるはずだから。
約10か月ぶりのフルマラソン、ブランクがあるとはいえ、珍しく冷静沈着だった。

5キロを22分49秒、10キロを44分33秒は、想定していたタイムより少し速い。飛ばし過ぎか?と思ったけれど、別に呼吸が荒くなっているわけでもなければ辛くもない。やがて15キロ手前で、程よいペースで走るランナーを発見。しばらくペースランナーに見立てて併走することにした。
そして、いよいよ難関の新川通へ。周囲に遮るものがない、往復約13キロのほぼ直線コース。折しもこの日は西寄りの風が強く吹いていて、ランナーの行く手を阻もうとする。

20キロ手前、例のランナーと併走しながらランナーを追い越すと、「マカナエさん!」と声を掛けられる。弘前・白神アップルマラソンで一緒に3時間30分のペースランナーを務めることになっているタカハシさんだった。ビックリして後ろを振り返りつつ、ひょいと手を上げて再び前を向く。
今思い返すと、折り返した直後までは、周囲にほとんど目を向けず、完全にゾーンに入っていたような感じだった。背後から「スゲエわ…」というタカハシさんの声が聞こえたのは、気のせいではなかったようだ。

中間地点通過は1時間33分29秒。
先へ進むにつれ、海が近づいて来る影響からか、風もどんどん強くなってくる。
くじけて脚が止まりそうになるが、「ここで負けたら終わり。我慢我慢。」と、言い聞かせる。
しかし、スペシャルドリンクのボトルがバタバタと倒れるぐらいの強風にずっと晒された結果、徐々に身体が冷えていった。

26キロの折り返し。それまでの向かい風も、折り返せば追い風になる。今度は追い風を味方に、前へ前へと脚を運ぶ。右足裏が大分痛くなってきたが、きっと気のせいだろう。
私設エイドのコーラを飲み干す。このままどこまで行けるだろうか、と思い始めた途端、ギュルギュルギュル~ッという音が聞こえた。遂に魔物がちょっかいを出し始めたらしい。

それでも30キロ通過は2時間13分32秒。このままだと、自己ベストも狙えるペース、だったはずなのに…。
(続く)

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