チャレンジヒルクライム岩木山ランニング大会2018 #岩木山がスキナンダ

10月7日に開催が予定されていた今年の弘前・白神アップルマラソンは、台風の接近により初めて中止となり、悶々とした中で3連休を迎えることとなりました。

僕自身、今年は既に3つの大会出場を見送っていたこともあり、レース感覚がだいぶなくなっているし、そもそも練習不足。何よりもモチベーションの上がらない中で大会に出場しても、役割(今年は3時間30分のペースランナーを務める予定だった)を果たせるか自信がなかったので、ひょっとしたらこれはこれで良かったのかな、なんてことをふと思ってしまったのも事実。

きっと大会は来年また開催されるはずなので、それに向けてまた頑張ろうと決意を新たにしたのでした。

アップルマラソンの翌週、14日は「チャレンジヒルクライム岩木山ランニング大会2018」の開催日。

ここ数年毎年参加しているこの大会、例年は普段歩行者が通行することのできない「岩木スカイライン」をひたすら駆け上がり、岩木山の8合目にある駐車場がゴール。そこからバスに乗せられてスタート地点まで帰ってくる、という10㎞のワンウェイコースだったのですが、今年は何と、駆け上がった後に同じコースを下るという20㎞のコースと、スカイラインの途中で折り返してスタート地点へ戻る10kmの二つのコースとなりました。(どうしてそうなったのかは、推して知るべし。)

スタート地点と折り返し地点(プログラム上はFinish Altitudeとなっていますが、折り返し地点です)の高低差は797m!ところが、スタート直後に一気に下ってから上りが始まるため、実際は850mを超える高低差があります。平均勾配は8.1%、最高で11.8%。車もギアを落とさないと走れない、そんなコースです。

そんなド変態が悶絶しながらヒィヒィ言いそうなコースに臨んだのは、10km,20km合わせて35名!(しかも女性が8名!)
昨年のワンウェイコースに比べると大幅に参加者が減っていますが、聞くと「下りで膝を壊しそう」という声が圧倒的に多かったです。

僕の場合、今年はアキレス腱を一度痛めていますので、出場を躊躇ったのも事実。でも、行くしかないでしょ。だって、岩木山に登る機会、それも普段絶対に走ることのできない岩木スカイラインを走れる機会なんて、この日しかないんだから!

前置きが長くなりましたが、早朝(というかまだ未明)3時50分に起床、慌てて着替えて会場の嶽温泉郷を目指します。駐車場に到着した頃は当然のことながらまだ真っ暗で、満天の星が輝いていました。そういえば昨年、流れ星をたくさん見たんだったな、なんてことを思い出しながら、1.2㎞先にある受付会場を小走りで目指します。

受付時間(4時45分)を若干過ぎた頃に到着、受付を済ませた後、選手ミーティングが行われ、8時に岩木スカイラインがゲートオープン(営業開始)となるため、この時点で下山できなかった人はピックアップ(DNF)となる旨伝えられました。

時折襲ってくる睡魔に耐えつつ、起床してから水分以外のものを腹に入れてこなかったことをふと思い出しました。これでテンションがガタンと下がりました。

「途中でやめるのも、アリかな。」
そんなことを考えながらスタート地点へ移動。
温泉街での開催で宿泊客も多いため、あまり騒ぎ立てるわけにはいきません。

「はい、スタートでーす!」
5時15分、号砲も何もない、KSK氏の合図でおもむろにスタート。

この時点で、やっと足下が少し見える程度まで夜が明けてきました。
ガチンコのレースではないし、練習不足だし、そもそも参加しなかった皆さんがおっしゃっていた通りケガはしたくありません。
なので、走る前に、今日のテーマを3つ決めていました。

1 タイム、順位は度外視。
2 とにかく苦しみながら楽しむ。
3 絶対にけがをしない。

スタート直後、予想通り高速ランナーの皆さんがまるでカモシカのように先陣を切っていきます。
僕はずっと後ろの方から、最初の1キロこそキロ5分で入りましたが、そのあとはのんびりラン。県道を右折し、岩木スカイラインのゲートをくぐると、いよいよダラダラと上り坂がスタートします。

なんでこんな大会に出ちゃったんだろうなあ、というこれまた毎年恒例の葛藤。アホですよね。だって、こういうコースだってこれまで何度か走ってわかっているんだから。
2キロ地点を通過、この時点でペースがガクンと落ちたことを認識。料金所を通過しながら、「どこでやめようかなあ」ということを考え始めます。

…いやいや、今日は苦しみながらも楽しむんだ。とりあえず行けるところまで行ってみよう、と。
仲間のランナーに抜かれても気にしません。そういえば去年は早々に脚が売り切れて歩いていたのに、今年は結構脚が持ってるかも。その分ペースが圧倒的に遅いけど。

やがて30のカーブナンバーが見える前に、10㎞にエントリーしていたDさんとSさんが相次いで下山してきました。
そのスピードが半端なく、文字通り疾走、といった感じ。いやあ、あれだけでもかなりのものでした。

ということは、このあと8合目で折り返したランナーもやってくるってことね!多分MさんとKくんなんだろうけれど、楽しみ楽しみ。
カーブ一つ一つに設けられたナンバリングだけが走るエネルギー。
69個目が見えたら、そこが折り返し。
給水を過ぎた後はいよいよ走るのが辛くなり、走って歩いてを繰り返します。

50個目を過ぎたあたりでしょうか。前方、というか上方から声が聞こえてきました。
ハイ来たMさん!続いてKくん!8合目で折り返した二人が、これまた物凄い勢いで下山していきます。

ようやく60を過ぎたあたりで、白神山地に広がる雲海が目に飛び込んでみました。更には日本海、そして、岩木山の影!気象条件はもちろんのこと、限られた時間帯でしか見ることのできない岩木山の影が、今年もクッキリと浮かび上がっていました。

つい脚を止め、撮影したくなります。って、撮影したんですけどね。

さあ、ようやく8合目が近づいてきました。頭上からM社長の声が聞こえてきます。最後の力を振り絞ってようやく折り返し地点の8合目駐車場に到着。チェックポイントでは、ようやく登り切ったからなのでしょうか、なぜか笑いしか出てきません。昨年だとここに、走り終えたランナーが疲労困憊と達成感の入り混じった表情を浮かべながらたくさんいたのですが、今年はその姿もなく、少し閑散としていました。

それにしてもホントに寒い!こんな寒い中で、折り返しのランナーを待つスタッフの皆さんも大変だったと思います。本当に頭の下がる思いです。

脚攣りの予感がしたため、持参した芍薬甘草湯を手にするも、手が震えて封も切れないといった有様。切れたと思ったら今度は手から袋を滑らせ、粉を半分近くぶちまけるといった状況。もう、ここまで来ると何があってもおかしくありません。

さ、それでは下ります!
いよいよ恐怖の下り坂。ここからは、自分で撮影したもの以外に、すれ違った仲間、先にゴールした仲間、スタッフとして尽力してくれた仲間が撮影してくれた画像を交えながらお届けします。

さようなら8合目。また来ます。

膝を壊したらどうしよう、腱を痛めたらどうしよう。不安ばかりが胸に去来しますが、もはや行くしかありません。膝に負担がかからないように走るも、最初で4分半、途中から3分40秒台をキープするスピードになりました。

帰りはきっと楽、と思っていたのは甘い考え。徐々に下半身が重くなり、スピードを抑制したくなるのがわかります。

勾配の緩い直線を探すも思いのほか見つからず、ようやく見つけた地点手前でスピードを緩め、足を止めます。

初めての下りは正直、怖かった…。

ようやく料金所を通過、ゴールが近づいてきました。

(この日最高の写真は、巨匠Hさん撮影。)

県道に抜けるゲートの手前で、二人が手を振っているのが見えてきました。
先着したMさんとKくんでした。
こっちはやっとの思いで下山してきたのに、二人はどんだけ体力が残っているのでしょう。
そして、ゴールまで1キロを切りました。時計を見ると既に20kmを越えています。もはやここまでくると、笑いしか出てきません。ネジが外れ、壊れてしまったロボットみたいな感じ。それでも、怪我なくここまで来れたのは本当によかった。

そして、ゴール。先着していた仲間に拍手で迎えられます。

泣いていたんじゃありません。

顔に当たる風が冷たくて、目から鼻から口から放出された水分を拭いていただけです。

そして、ホントに壊れました。汚い顔ですいません。

それにしても、終わってみると何でしょうこの達成感。距離にして21.3kmを越えていたので、完全にハーフマラソンです。たかがハーフマラソンなのですが、この達成感はきっと、高低差が生み出したものなのでしょう。7時30分の嶽温泉郷が暖かく感じられたぐらいですから。

ということで、2時間ちょっとを要してゴールするといった状況ではありましたが、走って本当によかったです。…明日明後日の太ももの筋肉痛が恐怖ですけどね(一応それなりにケア済)。

参加された選手の皆さん、本当にお疲れさまでした。

運営に携わったスタッフの皆さんにも心から敬意を表します。お世話になりました。本当にありがとうございました。

(登って下る、それだけ。)

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