2011年1月 9日

「堤幸彦×佐野元春『コヨーテ、海へ』」

wowowで1月3日に放映された「堤幸彦×佐野元春『コヨーテ、海へ』」をようやく観た。正しくは、8日の午後から再放送されていたものを改めて観たのだ。

父(佐野史郎)のブラジル、息子(林遣都)のニューヨーク、それぞれの旅を軸としたドラマ展開。劇中歌はほとんど佐野元春の楽曲である。11月のライブが始まる前に、この番組の予告編(ダイジェスト版)が流れたのだが、正直この類のドラマは楽曲が強調されることで内容が散漫になってしまうのでは、とあまり期待を寄せていなかった。

常に先駆的な取り組みと言われ続けてきた佐野元春の音楽遍歴。ラップ、レゲエ、そしてポエトリー・リーディング...。佐野元春の30年は、気がついたら(胸を張って語ることはできない)僕自身の音楽嗜好の遍歴、その多くを占めるようになっていた。といっても僕の音楽遍歴は浮気性なので、プリンスを軸に邦楽だと佐野元春、吉川晃司、岡村靖幸、渡辺美里と、枚挙に暇がないのだけれど...。

誰も見向きもしなかった「ラップ」「レゲエ」が、佐野元春の取組後10年前後で市民権を得たことを考えると、一流ミュージシャンを従えたポエトリー・リーディングも、近い将来日本の音楽界に新たな息吹を...吹き込むことはないか。

ちなみにこのドラマでも、そんな時代の先端を彷彿させるようなシーンが序盤で登場する。

登場人物が非常に少ない分、ドラマ展開はきわめてシンプルなのだが、観ていくうちにどんどんその内容に引き込まれることに。
特にデイジー役で登場した長渕文音(長渕剛・志穂美悦子夫妻の長女)が好演。

父と子、それぞれの旅の中で徐々に取り戻していく自分らしさ、友情、絆といった、いかにもありがちなテーマではあるが、思わず観ていてホロッと来てしまった。

音楽は「COYOTE」からの楽曲が大半ではあったが、裏を返せば約2時間近くのドラマのバックミュージック(サウントドラック)になり得るほど、このアルバムにはドラマ性があった、ということを改めて思い知った。
 

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