2010年3月16日

スチャダラパー20周年

スチャダラパーが知らぬ間に結成20周年を迎え、記念盤とも言うべきアイテムが登場。
スチャダラパーといっても、ひょっとしたら今の若い人たちにはあまり馴染みのない人たちなのかも知れないが、まず真っ先に思い浮かぶのが小沢健二とのコラボによる「あの曲」。
スチャダラパーの名前を世に知らしめ、オザケンを大ヒットに導いた布石と言っても過言ではない。
でも、「あの曲」が売れる前から小泉今日子をはじめ、いろんなアーティストがスチャダラパーをさりげなくプッシュしていたこともあり、僕の中ではとても気になるアーティストの一つだったのだが、日本語のラップに手を出す勇気が出ず、結果的に「あの曲」も収録されている「ポテンヒッツ」が発売されたあたりから聞き始めるようになった。
この「ポテンヒッツ」という名のアルバム(いうまでもなくベスト盤)を聴いてまず最初に驚いたのは、谷啓とのコラボレーションによる「あんた誰?」。何故に谷啓なのか、理由もよくわからぬまま、お世辞にも軽妙とは言い難い谷啓のラップとスチャダラパーとの掛け合いに、ちょっと興奮してしまった。
そんな感じで僕は、スチャダラパーの音楽にちょっと足を踏み入れることとなったワケで。

ただ、当時のラップやヒップポップと言えば、どちらかと言えばアングラというか反社会的というか、ちょっと斜に構えた人たちの音楽という印象があったのだけれど、スチャダラパーがその空気を変えてしまった、といってもいいかもしれない(いい意味でも悪い意味でも)。
その後、急に日本語のラップが社会現象のように巻き起こり(昔からのラップファンにしてみれば、どんどんJポップ化していくラップは目も当てられないことだったことだろう)、その後のヒップポップ隆盛に繋がり、今日に至っている、と勝手に思っているんだが...(誰かフォローして)。

新社会人になって数年経った頃、同じ職場の同期の連中と飲みに行く機会があった時には、どういうわけか決まってこのスチャダラパーを唄わされたものだった。まあ、あの頃は何となくラップ・ヒップポップの類が脚光を浴びていたこともあった(ちょうど「DA・YO・NE」とかが流行っていた頃)。
ラップ音楽と言えば、せいぜいRun-D.M.C.ぐらいしか聞いたことのない僕、まして日本語でラップなんて...とあまり肯定的な見方をしていなかった僕が、彼らの音楽を、何の抵抗もなく親しみを持って聞くことができたのは、日常にごくありふれた光景、いや、ありそうでなさそうな光景をモチーフにしているからだと思う。音楽を聴いていてその光景が目に浮かぶというか想像できるというか、そういう音楽に出会うことってそんなにないような気がするのだけれど、スチャダラパーに限って言えば、結構そんなことが多かったような気がする。なので僕にとってスチャダラパーは、極論すれば、いわば「妄想」のツールみたいなものだ(笑)。
そういう流行の一つとして僕がスチャダラパーを聞いているということが意外だったのか、何故か「あの曲」以外の曲を一人で唄わされたものだった。「ドゥビドゥ What? 」や「From 喜怒哀楽」は十八番みたいなものだった。

ちなみに、個人的に一番気に入っている曲は「5th WHEEL 2 the COACH」というナンバー。
この曲の中に、こんなフレーズがある。

猫だーい好き 犬も好き イルカも好き あと人も好き
俺も 猫だーい好き かわいいから あと牛も好きー おいしいから

最近イルカやマグロ漁、捕鯨を巡って世界と日本が何となくぎくしゃくしているが、あまりにも人間的で日本人らしいストレートな表現ということで。

さて、2月に発売されたオールタイム・ベストには、この「5th WHEEL 2 ...」が収録されていないのが非常に残念なのだけれど、前述の「あんた誰?」やあの曲こと「今夜はブギーバック」の他、最新アルバムにも収録されていた木村カエラとのコラボレーションによる「Hey!Hey!Alright」や、TOKYO No.1 SOUL SETとのコラボナンバーなど、全33曲を収録。
ブックレットには本人達による楽曲紹介もあり、いろんな裏話が綴られている。
まぁ、このタイミングでベスト盤というのも何となく微妙な気がしなくもないのだけれど、そこは目をつぶろう。

ただしかし、しつこいようだがこれぐらいの楽曲では、彼らを知るにまだ足りない。
というわけで、08年12月に発売されたコラボレーションナンバーを集めた2枚組コンピCD「Can You Collaborate?」。って、一見見聞きしたことのあるようなタイトル。
スカパラ参加による、ポンキッキーズでおなじみだったナンバーから始まるが、何と言ってもこのアルバムの聞き所はグループ魂の「勃発!バンド内抗争~グループ魂にスチャダラパーまで~」だろう。
御存知の方は御存知だと思うが、ハッキリ言ってこの楽曲は反則。
ちなみに僕、最初にこの曲を聴いた時に、人目も憚らず電車の中で吹き出しました(笑)。

もちろんこの曲以外にも聞き所は満載。ゲストも多彩だし、何が入っているかわからないおもちゃ箱みたいな感じ。
で、このCD、単にコラボ楽曲を集めただけのCDということであればそれで終わってしまうのだが、何と、コンピCDとは内容の全く異なる、スチャダラパーの過去の22曲にも及ぶPVを集めたDVDを同梱。
これだけでも「買い」なのだ。

で、この2つを聞いてみて、更に深いところを探ってみたい方には、オリジナルアルバムを聴くことをお薦めします。
といいつつ、取りあえずソニーとEMIから出たベスト盤を並べる僕。やはり聴き始めにはこれも捨てがたい。


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