2010年2月22日

驚異的回復

昨日、チョコを動物病院に連れて行った時のこと。
思えば先月24日に発症以来、まもなく1ヶ月。当初は余命1週間だろうということで覚悟を決めていたつもりだったのだが、衰弱するどころか逆に以前のパワーを取り戻しつつあるような状況だ。

チョコは、僕が運転する車に乗せられた時はどこに連れて行かれるのか察するようで、落ち着きがなくガタガタと震え始める。病院に到着してから待合室にいる時も、ずっとガタガタと震えている。

程なく、チョコの名前が呼ばれた。
獣医と対面するのは2週間振りで、今回は果たしてどんなことを言われるのか内心ビクビクしていた。ただ、前回と比べて診察台の上に乗せてもまな板の上の鯉状態で横たわっていることはなく、前脚で自分の身体を起こした。

獣医は学会か何かの都合で渡米していたのだが、その間もチョコのことは気にかけていたようで、国際電話で状況を聞いていたようだ。

診察台に乗せられた途端、前脚で身体を起こし、ガタガタと震えながらも凛とした表情を浮かべるチョコの姿を見て、獣医が舌を巻いた。

「止まりましたねぇ!うん!止まったな。米国にいた時も電話で元気だとは聞いていたけど、よかったねぇ。」

どうやら進行性だと思われていた病状が止まった、ということらしい。
嬉々とした声色にも聞こえる獣医の言葉は、今回が初めてだったような気がする。その声を聞いて僕は、思わず泣きそうになった。

決して自発的ではないが、誰の手を借りることなく排泄も自然に行われていること、食欲は以前のように取り戻したこと、下半身が不自由である以外は、普段通りの行動に戻りつつあること...。

これまでは、病院を訪れるたびに「良くなることは考えず、これ以上悪くならないことを考えましょう。」ということばかり言われていた。
獣医も「いやー。運ばれてきた時は全然動けなかったし、あの状況を考えると...ねぇ!ホントによかった。」
恐らく一瞬間の空いた「...」に込められた思いは、僕たちが考えていたことと同じことなのだろう。

「ただ、まだ油断は禁物ですよ。大分痩せましたけど、太ると前脚に負担がかかりますからね。体重は勿論、普段の管理も怠らないようにしましょうね。特にこうやって前脚で立てるようになっても後ろの自由が利きません。床擦れには注意ですね。」

僕と妻は獣医の言葉に頷くだけだった。

その後、しばらく触診を続ける獣医。
「いやぁ、よかったね。じゃあ、薬の量を減らしましょう。ステロイド剤を半分にしましょうね!」

あれほど深刻な表情を浮かべながら「余命宣告」とも言うべき言葉を告げた獣医の表情はそこにない。むしろ、後ろ脚が不自由でも何とか生きていけるんじゃないか、そんな前向きな言葉を獣医の口から聞くことが出来ただけでも、本当に良かった。

チョコは相変わらず、家に帰ると喉が渇いたと空吠えし(ただし、筋肉が落ちているので声になっていない)、食事を始めると自分にも何か喰わせろと空吠えする。でもそれは、1ヶ月前に何の不自由なく動き回っていた頃と何ら変わらない。

どうやらもうしばらくの間、3匹と戯れることのできる時間を与えられたようだ。

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