2010年3月 9日

B級グルメの役割

B級グルメ。もはや料理のジャンルの一つとして定着し、今でも全国各地の地域おこしのネタとして広がっていることは既に皆さんも御存知の通り。ただ、素朴な疑問として、B級グルメって一体何だろう、と思ったのだが、どうもいろいろな見解があって、「これだ!」という確固とした定義がない模様。

また、これと合わせて「ご当地グルメ」と呼ばれるものもあって、B級グルメとの差別化がますます難しくなっている。結局、「ご当地グルメ」のうち何となく全国区として売り出せそうなのが「B級グルメ」ということになるのだろうか。

個人的には、B級グルメというのはそもそも地元で古くから愛されているのに、他地域ではあまり知られていないような料理だと思っていたのだが、これがどうも「ご当地グルメ」の定義に当たるようだ。最近の兆候を見ていると、そういう「ご当地グルメ」の発展型として「B級グルメを作らなきゃ!」と躍起になっている地域もあるように見受けられる。

昨日たまたまテレビを見ていたらB級グルメの特集をやっていたのでちょっとだけ見たのだが、「えー?それって本当に地元に定着してるの?」と勘ぐりたくなるものや、「いやいや、それはもはやB級グルメの域を超えているでしょう!」というものもあった。

余談ではあるが、全国初のB-1グランプリが開催されたのが八戸市で、その時の優勝が静岡県の「富士宮焼きそば」だった。それ以来、B-1グランプリが優勝した地域での持ち回りで開催されるようになった。その模様がテレビやマスコミで大々的に報じられるのを見て、集客力や盛り上がりぶりに地団駄を踏みながら、あわよくば我田引水とばかりにB級グルメの発掘に奔走した、というのが各地の実態だろう。

青森県内だと、八戸せんべい汁と黒石つゆ焼きそばが有名で、この他に歴史が古いのは青森の生姜味噌おでん。更に最近ではむつ市の大湊海軍コロッケに十和田市のバラ焼きなど、いずれもB級グルメとして売り出そうと必死になっており、群雄割拠の様相を呈している。

しかし、青森県内だけでもこれだけあるご当地グルメ、県内はもちろん他都道府県でもまだまだ眠っていると思しき「ご当地グルメ」はたくさんあるものと考えられる。ただ「B級グルメ」も、あまりに出過ぎると何が何だかわからなくなって興醒めする可能性もあるので、いつまでも「B級グルメ」にこだわるのではなく、ちょっと違う視点から攻めた方が、これからは斬新かも知れない。

ちなみに現在「B-1グランプリ」への出場は「B級ご当地グルメでまちおこし団体連絡協議会」なるものへの加入が条件となっていて、何でもかんでもB級グルメと謳い、「B-1グランプリへの出場を!」というわけにはいかないらしい。

個人的には金沢の「ハントンライス」が、何で今までB級グルメとして全国に紹介されないんだろう、とずーっと疑問に思っていたのだが、そもそも協議会には参加していないようだ。大体、金沢には兼六園もあるし、別にわざわざB級グルメとして広めることもなく集客することができる。あれはB級グルメではなく、「ご当地グルメ」で何の問題もないということだろうか。

裏を返せば「B級グルメ」というのは、そういう役割なのだと思う。

失礼を承知で言わせていただくならば、これまでB-1グランプリで優勝した富士宮、厚木、横手...これらの地域にある史跡や観光名所の類が、ほとんど浮かんでこない。
つまり、これといった名勝や観光地を持たない地域が、集客のアイテムとして生み出したのが「B級グルメ」ということになるのだろう。

その証拠に、東京や大阪からは、これだ!という「B級グルメ」がほとんどない。かつては「月島もんじゃ」が前述の協議会に参加していたようだが、すぐに脱退している。何か「大人の事情」もあったのかも知れないが、別にB級グルメがなくても人は訪れてくるし、わざわざ「B級グルメ」である必要はない、ということだろうか。

ただ、何だかんだ言ってもやはりB級グルメは「作り出すもの」ではないような気がしている。青森県内でも、他地域に追随しようとB級グルメを「作り出す」ことを考えているところがあるようだが、いわば客寄せのために、その場しのぎで生み出したようなB級グルメは、そんなに簡単に定着するものではないと思うし、売れるとも思えない。

そういえば先日ある関係者の方が「弘前市にはB級グルメがないし、取り組もうとしない。」と嘆いていたが、そりゃそうだ。弘前市にB級グルメなんてあるはずがない。

だって、弘前のグルメはみんなA級ですから(ニヤリ)。

津軽料理遺産

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