2005年4月 4日

【レビュー】 岡村靖幸 『ビジネス』

CDを購入してみて、収録曲が多かったり、収録時間がとても長かったりすると、何だかとても得したような気分になることがある。しかもそれが、とても聴き心地のいい作品だったり濃密な作品だったりすると、本当にいい買い物をしたと自画自賛することがある。

そういう前提からすると、岡村靖幸の作品というのは、何かちょっと複雑な気分になる作品が多い。オリジナルアルバムの収録時間は長くて60分前後、短いものになると40分を切ってしまうものも少なくない。収録曲数も10曲前後。それも、何年も待たされた挙げ句だったら、「お前今まで何していたんだよ!」と勘繰りたくなることもある。しかしながら、その内容は実に濃密なものが多く、収録時間が短いクセに濃密という、何だか得したのか損したのか複雑な思いに駆られることが多いのだ。

ここ最近の彼の活動を見ていると、それはそれは精力的で、今までの沈黙はいったい何だったんだ?というくらいに次から次へとプロダクツが登場している。その作品はどれもクオリティが高く、本当に何か吹っ切れたかのような、怒濤のリリースラッシュが繰り広げられている。逆に、このリリースラッシュの反動でまた沈黙に突入するのが怖いが...。
そんな中、突如登場したのが『ビジネス』。

LIVE用に楽曲をリアレンジしたその音源を基に、岡村靖幸自らが「リアレンジ」「リミックス」を施したノンストップアルバム。いや、アルバムというよりは、ちょっと長めに収録されたシングルみたいな感じ(笑)。

いきなりイントロで登場する「元気ですかー!」の声が、岡村ちゃんにしては随分気張っているな、と思ったら、彼の作品でもプログラミングなどを手がけている深澤秀行氏という人の声なんだそうな。台詞を噛む感じも似ているし、てっきり本人かと思い込んでしまったよ。

で、深澤氏のライブMCが中途半端な終わり方をしたと思いきや、前触れもなくいきなり本編突入。それも、あっという間に終わってしまう。それもそのはず、実質5曲の収録で、収録時間は30分にも満たない。正直、この手のモノであれば、彼ならばエンドレスで演ってくれそうな気もするんだけど、そこが「ビジネス」ということなのだろうか。正直、ちょっと物足りない気分。もっと聴きたいという思いに駆られる。収録された曲をみると、年代も曲調もバラバラなのに、そこは彼の本領発揮といったところか、ノンストップということもあって、全く違和感なく聞くことができる。特に、『岡村と卓球』に収録された5からデビュー作『yellow』に収録された6にかけては、何か彼の歴史の片鱗を聴いているような感じ。
作業工程を想像するに、いかにも彼らしいマニアックな作業だったことだろう。しかしそれでいながら、単なるマニア好みの枠に収まらない、面白い作品に仕上がっている。彼の「今」を知るにはもってこいの作品。

ただ、正直言ってお得感を味わうことのできる作品には、ちょっと及ばない感じ。できることなら、あと2曲は欲しかった。これで税込み2,415円って、ちょっと高くないですか?あ、これも「ビジネス」ってことですか...。

ビジネス
岡村靖幸

1.Intro
2.ア・チ・チ・チ
3.聖書 (バイブル)
4.come baby
5.adventure
6.Check out love

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