2005年11月 7日

今年最後の船釣り釣行記

既に釣果の画像だけ投稿しておりますが、その釣行記です。
もしよろしければ、私の七転八倒ぶりをご覧ください。
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早朝3時40分起床。友人Tが4時15分に僕の家の前に迎えにやってくる。途中、Tの知り合いのYさんを乗せ、一路青森に。情報によると、前日は10匹の鯛が、前々日は20匹の鯛が釣れたとか釣れなかったとか。大体こういう情報は、アテにならない。前日、前々日の釣果が良かったからと行って、僕たちが釣りに出かける日も同じような釣果が見込めるかといえば、それは何とも言えないからだ。

今回乗船するY船長の遊漁船は、これまで8回乗船している。しかしながらこの船上では、たった1度しか鯛を釣り上げたことがない。それも、生まれて初めて釣り上げた真鯛で、体長は64センチ。今まで釣り上げた中で、最大の魚。状況を考えると、どうみてもフロッグとしか思えなかったのだが、結局陸奥湾内で釣り上げた鯛は、これ1匹のみ。
さて、どうなることやら...。

そんなわけで今回も、期待せずに船の出港する青森マリーナへ向かう。ちなみに、前回の激しい船酔いの失敗を踏まえ、睡眠を十分に取り、起きがけに胃の活動を促すためにスープを飲み、更に酔い止め薬とパインジュース、自分で調合したシークワーサージュースと、装備は完璧である。

途中、釣りえさを購入(イソメ2キロ!)し、青森マリーナに到着。一緒に釣行に出かける3人(Tの元同僚で、S先生、C先生、H先生。Tは小学校教員なのだ)と合流。いずれもこれまで何度も一緒に釣行に出かけながら、それぞれ苦杯を舐めさせられている面々である。
午前6時、青森マリーナを出港。てっきりすぐその辺の沖合に出かけると思いきや、既にこの辺では釣果が見込めなくなり、下北半島の沖合まで向かうという。

途中、青森市郊外にある東岳から、日の光が差し込む。思えば、陸奥湾へ釣行に出かけて初めて見る夜明けの太陽。何故か全員で手を合わせ、釣行の安全と大漁を祈る。ここ一ヶ月、週末になると天気が崩れていたことを考えると、今日のこの天気、そして波風の状態は、奇跡としかいいようがない。
これで釣れてくれれば、文句はないのだが...。

約1時間ほどで、下北半島のむつ市脇野沢にある「鯛島」が見えてくる。今回の釣りは、この鯛島周辺で行う。

午前7時30分。いよいよ釣りがスタート。白波が若干立っているが、さほど気にならない。前回は、この状態から船酔いが始まったけれど、今日は全くその気配がない。酔い止めの薬がビンゴだったようだ。

30〜50グラムの錘に針のついた「ブラー」と呼ばれる仕掛けに、イソメを8〜10本ほど房掛けにし、水深40〜50mの底まで落とし込む。着底したあと、しゃくるように竿を何度か上に持ち上げ、仕掛けを落とすと、コンコン、というアタリがあるか、あるいは一気に引き込まれる。これが、鯛釣りの醍醐味だ。

「来たっ!!」

最初のヒットはH先生。体長40センチを超える、見事な真鯛が姿を現した。さぁ、ここからラッシュが始まる...と思ったのだが、その割でもない。やはり時期的に終盤ということで、食いが渋っているのだろうか。

僕の竿にはアタリはあるものの、鯛のアタリっぽい感じではない。釣れてくるのはフグやカレイといった外道ばかり。肝心な真鯛がなかなか姿を現さない。

気が付くと、真鯛を釣り上げていないのは、僕と友人Tのみ。Tは釣り名人だから、絶対に最後は帳尻を合わせてくるはず。ということは、やっぱり僕だけボウズか...と、内心焦りが出てくる。
そんなとき、僕の仕掛けを見た船長が、「糸が太いんじゃないか?」と指摘。確かに、他の人たちより太い糸を使っているが、ひょっとしてそれが今まで釣果に繋がらなかったのだろうか。

ついでに、「仕掛けも変えてみれば?」と言われ、7年越しの真鯛釣り挑戦で、ようやく今日初めて真鯛を釣り上げ、すっかり余裕綽々のS先生から仕掛けをお借りする。
仕掛けを落とし込み、着底するかしないかといったところで、グググッと竿が撓っている。
「...ん?」

ひょいっと竿を持ち上げた瞬間、ジジジーっとリールが鳴り出す。
「き、来たあっ!!(泣)」

いきなりのヒット!仕掛けの感触を楽しむ前に釣れるとは、恐るべしガンキチ(←仕掛けの名称)!!
「ゆっくりゆっくりー」と声が飛ぶ。こうなるとみんなが味方である。とにかく、一人だけ釣れない人がいると、何となく気まずい空気が流れているものだから、早いところ僕にも鯛が釣れないことには、他の人にとっても迷惑な話なのだ。
約5分の格闘の末姿を現したのは、52センチの真鯛だった。
「よかったー!!」
ようやく1年振りに姿を見た真鯛を見て、安堵。これですっかり余裕が出た。

遂にこの時点で、真鯛が釣れていないのは友人Tのみとなった。でも、彼がこのままで終わるわけがない。
「絶対最後帳尻合わせてくるから。」
ヒソヒソと話しながら、みんなは何となく安堵の表情を浮かべている。

午前11時頃に干潮を迎え、ピタリとアタリが止まった。この時間を利用して、みんなが一斉に早めの昼食を取る。

午後になり、再び潮が動き出す。船の上が賑わい出す。
他の人はコンスタントに鯛を釣り上げているのに、僕には2匹しか釣れなかった。
ホントのところ、5匹は釣れていたはずなのに...。

=大物取逃帖=

荒食いの時期は過ぎているし、大分深場に落ちているので、鯛を誘い、喰わせるまでには相当の苦労を要した。
結局釣り上げた2匹は、僕が釣り上げたというより、鯛が仕掛けに誘われてバクリとやってくれたから釣れた、といった感じだった。
普段からバラしは多いが、今回は記憶にあるだけで5回。なかでも、悔やんでも悔やみきれないバラしが3度。これがちゃんと釣れていれば、僕の釣果は5匹だったはずなのに...。

1.ダブルヒット

午前中のことだ。まだ何も釣れていない僕の竿に、ようやくアタリが。竿が撓るタイミングを見計らい、グイッと竿を持ち上げた瞬間、リールがシャーッと音を立て、糸が出ていく。鯛だ。間違いない。
「き、来たぁ!(嬉)」
約1年振りに体感する激しい引き込み。すると、背後から声が飛ぶ。
「こっちも来たぁ!!」
朝から絶好調のH先生の竿にも鯛が食いついたらしい。
よーし、ここはダブルで...と思ったその時。フッと竿が軽くなった。針掛かりしていなかったのか?どうやら獲物をバラしたみたい!?
と同時に、H先生も「ああっ!バラした...!!」と悲鳴を上げる。
同時にバラした...って?んなアホな...?

いくらリールを巻いても、さっきまでの激しい引き込みはない。どうやらホントにバラしたらしい。やっと釣れたと思ったのに...半ば傷心のままリールを巻き上げ、仕掛けが水面に上がってきた時、愕然とした。何とH先生の仕掛けが、僕の仕掛けと絡んでいるのだ。
僕が鯛と格闘している最中、僕の糸とH先生の仕掛けが絡まり、それをH先生は自分の竿にもヒットしたと勘違い、H先生の仕掛けが僕の仕掛けにぶつかった瞬間に、鯛が針から外れた、ということらしい。
僕に対し、「ごめ〜ん」と本当に申し訳なさそうに何度も詫びるH先生。
ま、船上の釣りではオマツリなんてよくあることだ。
「気にしないでくださいよ!」と笑顔で言ったものの、僕の顔は相当引きつっていたらしい。そりゃそうだ。この時点でH先生は既に3匹も釣り上げていたんだから(笑)。

2.幻の70オーバー...

午後、2匹目を釣り上げた後のこと。何となく大物の予感がしていたところに、グググッと糸が引き込まれた。タイミングを見計らい、ヒョイッと竿を持ち上げると!ジャーッ!!リールから激しく糸が出ていく。鯛だ!
「来たぁ!!(嬉)」
ん?でも、さっきまでとは竿の撓り方が全然違う。何より、リールから走る糸の出方がハンパではないのだ。
「で、でかいぞ!」
周囲が色めき立つ。
顔が引きつる。竿ごと持って行かれそうになり、体勢を整えるのもやっとの状態。何とか持ちこたえながら、リールを巻き取るが、大分巻き取ったと思いきや、再びジャーッと糸が出ていくという繰り返し。去年釣り上げた64センチを凌ぐ大物の予感。
いや、64センチは軽く超えているだろうと確信した。今秋塗り替えられた68センチの記録越えか?リールをひたすら巻き取り、何とか鯛が浮上することを祈る。「バレるなよー!」
数回そういうやり取りを繰り返しながらジワリジワリと、未だ見ぬ獲物を手許にたぐり寄せる。フッと竿を持ち上げ、一瞬リールの手を止めたその時...。
Tが叫んだ。「あっ!!緩めちゃ...」
竿の撓りが、スーッと軽くなった。

「えっ!?」
一同唖然。僕はもっと唖然。
何と、一瞬の油断の隙に、針が外れてしまったのだ!
「もう一回追って!」とはいうものの、あとの祭り。
よりによって一瞬魔が差し、リールを巻く手を止めた瞬間に、フッキングが甘かったのかそれとも最初から針掛かりしていなかったのか、幻の70センチオーバーは再び陸奥湾に消えてしまった...。
左腕にじんわりと残る痛み。
船長や他の人からも「70(センチ)は超えていたと思うよ」と言われる。C先生曰く「合わせが早すぎたね、見ていたら」だって。
これ、一番凹んだ。

3.幻の70オーバー...のツケ

鯛を狙う仕掛けは、その日の天候や時合い、波の状況などに応じていろいろ変化を加えなければならない。
幻の70センチオーバーを釣り損ねた仕掛けは、金色に赤いラインの入った30グラムのブラーだ。この先端には、自分で購入し、セットした鯛釣り用の強靱な針が二本取り付けられている。
アタリがあり、実際食いついてきたということは、真鯛はこの仕掛けに興味があるということ。二匹目のドジョウならぬ三匹目の鯛を虎視眈々と狙う僕は、その仕掛けのまま再び鯛に挑んだ。
すると...。

ガツンというアタリとともに、竿がグッと引き込まれる。
「来たっ!」
リールが音を立て、竿が撓る。先ほどの激しい引きではないにせよ、鯛であることは間違いない。
同じ轍を二度と踏むわけにはいかない。リールを慎重に巻き上げながら、鯛が姿を表すのを待つ...と思ったその時、みたび竿先が軽くなる。

「ええっ!?またぁ!?」
思わず絶叫。バラし名人ここにあり、といったところだろうか。完全に自嘲気味である。

でも、おかしい。ちゃんと針掛かりしていたはずなのに。何が悪かったんだろう。船長が言うように、二本針がネックなのだろうか。何が悪いんだ?やっぱり腕か?半ば混乱状態に近い状態で仕掛けを引き上げてみて、納得した。

何と、針が綺麗に折れていたのだ。これでは釣れるわけがない。恐らく、さっきの「幻」とのやり取りで、相当釣り針が疲弊していたのだろう。いわば「疲労骨折」である。もう一本にも掛かっていれば、バラすこともなかっただろうけれど、釣りはそんなに甘いモノじゃない。

折れた針を見た周囲は、再び色めき立った。
「や、やっぱりさっきのは、相当の大物だったんじゃぁ...」

その言葉を聞いて、また凹んだ。

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結局、船に乗る全員が真鯛を釣り上げた。船全体では大きい鯛だけで25匹も釣り上げたんだから、大漁である。僕は鯛を2匹、カレイ1枚、エイを1匹、フグを2匹釣り上げた(お持ち帰りは鯛のみ)。午前中鯛が全く釣れていなかった友人Tは、午後になり猛チャージで、一気に5匹釣り上げた。さすが名人である。
これまた今までの船釣りで初めて「釣りエサがなくなったので」、午後4時納竿。午後5時に帰港。
一同満足げに帰路に就いた。

取り損ねた大物は、「来年のリベンジお待ちしております」ということだろうか。また来年に期待しよう。

追記。
酔い止めにはアネロン。これ、間違いなく効くよ。

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コメント(2)

すごいですねぇー!!
二匹でも充分ですよー!!

欲が出るとキリがないもので、釣りながら「あと1匹釣れたらあの家に持って行こう、もう1匹釣れたらあそこにも持って行こう」とか、いろいろ考えちゃうんですよね。
ちなみに一度、鯛だけで13匹釣り上げたことがあるのですが、この時はさすがに配布先に苦労しました(笑)。

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