2007年2月 2日

他人事でなくなった鳥インフルエンザ

今日は鳥インフルエンザのお話を。

ご存じのとおり今年に入り、宮崎県と岡山県で鳥インフルエンザが確認されています。着任したばかりの宮崎県・東国原知事にとっては、まさにいきなりやって来た試練といったところでしょうか(傍目から見ると知事は非常に迅速に対応しているように思えますが、やはり「嫌がらせ」のようなことはあるらしいです)。

養鶏場への立入禁止や半径10キロ以内の鶏(鶏卵含む)の移動禁止、養鶏場への消毒用石灰の配布など様々な対策が講じられる一方、発生が確認された養鶏場では、何万羽ともいう数の養鶏が処分されています。
手塩にかけて養鶏を育てた業者にとってはまさに断腸の思いでしょう。こういった被害はまさに死活問題であり、周辺の養鶏場から出荷される鶏に対しても風評被害が懸念されています。

食品安全委員会、厚生労働省、農林水産省、環境省が発表している見解をピックアップすると、

・鳥インフルエンザについては、これまで、鶏肉や鶏卵を食べることによって、人に感染したという事例の報告はありません。
このため、食品衛生の観点からは、鳥インフルエンザ発生農場から出荷された鶏卵や鶏肉を回収する必要はないものと考えられます。

・鳥インフルエンザは、この病気にかかった鶏と接触して、羽や粉末状になったフンを吸い込んだり、その鶏のフンや内臓に触れた手を介して鼻からウイルスが入るなど、人の体内に大量のウイルスが入ってしまった場合に、ごくまれにかかることがあることが知られています。

・日本では、この病気にかかった鶏等が徹底的に処分されており、通常の生活で病気の鳥と接触したり、フンを吸い込むようなことはあまりないことから、鳥インフルエンザに感染する可能性はきわめて低いと考えられます。

ということだそうです。

ただ、例えば狩猟などにより捕獲した野鳥が鳥インフルエンザに感染していることに気づかず、それを調理している時点で、人体への感染の可能性はありうるのかな、とふと思ったり。
ちなみに、ヒトが鳥インフルエンザに感染した場合、一番効果を発揮するのはあの「タミフル」だそうです。もっとも、タミフル飲んでコケッコー状態になったら洒落になりませんが...。

あまり身近に感じられない出来事かも知れませんが、どこで発生しても不思議でないのが鳥インフルエンザ。我が県でも事前に対策を講じているわけですが、万が一鳥インフルエンザが確認された場合、人海戦術で処分などを行わなければなりません。

宮崎県で発生した鳥インフルエンザの場合、養鶏場で鶏を処分しているのは、その施設の従業員ではなく、県職員です。しかも、その道に長けた獣医の資格を持つ人だけではなく、一般職員も混じっています。

ハイ。この時点でピンと来た方、多分正解。

私、青森県で鳥インフルエンザが発生した場合、養鶏の処分要員の一人として名を連ねることとなりました。
とはいってもこの処分要員、万が一複数箇所で鳥インフルエンザが確認され、人手不足となった場合の話で、うちの職場の4割が処分要員となってしまったんですけどね。

宮崎県で実際に処分に携わった職員の手記を拝見しました。

作業は1時間交代で行われること、何故1時間交代なのかというと、防護服には通気性がなく、1時間の作業でも大量の発汗があるため、体力を消耗するからだということ、着せられる白い防護服は約1万円で使い捨てであるということ、何が苦しいって、鶏糞の臭いがハンパじゃないということ(着ている服に臭いが染み付くらしい)、手慣れてくると自分の手で鳥を「絞める」こともたびたびあること(実際は二酸化炭素による殺処分)、作業中ゴーグルが曇ってきても、外して拭くことすら出来ないこと、作業前の防護服着用より、作業後の防護服脱衣が大変だということ、寄宿舎に戻るバスの中では、誰一人として口をきけないくらい体力を消耗していたこと、しかも寄宿舎で出された晩ご飯が「鶏の唐揚げ」だったこと等々...。

恐らく、こういう声というのは実際に携わってみなければわからない話でしょうし、ほとんどの方は知る由もないと思われます。

また、少なくとも皆さんがこの作業に携わることは、まずもってない筈。できることならば、私も携わりたくないというのが正直な気持ちです。
宮崎、岡山の養鶏業者の方々には、気の毒としかいいようがありません。
あとは、これ以上鳥インフルエンザが発生しないことを祈るばかりです。

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