2014年1月10日

津軽弁の行く末

DSC_0842 穏やかな冬の日から一転、大荒れの天気となった青森県内。昨日のラジオで、DJが急変した天気模様を伝える際、「飴をなめさせられ続けていた青森県」と話していましたが、まさにおっしゃるとおり、と思わず膝を打ってしまいました。 冬将軍の本領発揮で、昨日の帰りの際は、隣町の駅にパーク・アンド・ライドしてしまったことを後悔するほどの視界不良と凍結路面。 今朝は今朝で、除雪車に乗ったオジさんからの遅ればせながらのお年玉。家の駐車場の前には、道路に積もった雪を除けた後の灰色の残骸(雪)が、薄高く積まれていました。雪が軽かったことが、せめてもの救い。 昨晩からは冷え込みも厳しくなり、午後8時頃には既に気温が氷点下6度を下回っており、路面状態は劣悪。 どういう状況かというと、フィギュアスケートの浅田真央がトリプルアクセルを連続で決め、スピードスケートの加藤条治が男子500mで世界新記録を弾き出す、そんな感じでした。 ...まあ、早い話が路面凍結、かなり酷かったわけですよ。 そんな状況を昨晩Facebookに津軽弁で投稿したら、思いの外ウケが良くて、ああ、やっぱり地元の言葉っていいなぁ!ということを再認識した次第。 でも、確かに津軽弁って難解ですよね。しかも、津軽と言ってもその地域によって微妙に表現が異なっていたりアクセントが違っていたりするので、僕なんかは結構戸惑っています(ホントだべがの?)。 津軽弁がどれだけ奇怪かというと、「か」「け」「め?」「ん」という一文字の連続で会話が成立したり(和訳:「どうぞ。」「食べてください。」「おいしいですか?」「ええ、おいしいです。」)、「どさ?」「ゆさ。」という暗号みたいな言葉で会話が成立したり(和訳:「あら、どちらに行かれるのですか?」「ええ、ちょっと温泉(銭湯)に行こうかと思いまして。」)、かと思えば同じ単語なのに、色んな意味を含んでいたり。典型的なのは「ケネ」。アクセントの置き方一つで、全く異なる意味を持っちゃうんだから。 ・ケにアクセントを置いた「ネ」の和訳:(1)大丈夫だよ。気にするなって。(2)食べられません。(3)頂けませんか? ・ネにアクセントを置いた「ケ」の和訳:(1)あげない。(2)要領を得ない。 ・どちらにもアクセントを置かない「ケネ」の和訳:毛がない。 ...とまぁ、たった二文字の言葉が、6つもの意味を持ち合わせるわけですよ。面白いでしょ。 ではここで、「ケネ」の用法についてレクチャー。 今から何と8年前、2006年4月に投稿したブログの内容を再掲しますね。 Scene 1 「オメ、年の割にズンブケネナ。」 これには、二つの意味を持ち合わせています。まさに同音異義。 1.「キミ、年の割には随分毛がないね。」 2.「キミ、年の割には随分要領を得ないね。」 Scene 2 「それ、ワサ、ケネ?」「マネ。ナサダッキャ、ケネ。」 これは会話に二つの「ケネ」が登場しますが、意味は微妙に違います。 「それ、僕にくれませんか?」「イヤだ。あんたにはあげないよ。」 Scene 3 「アンマ量ヨゲデ、もうケネジャ!」「ケネケネ。クテマナガ!」 これも会話に二つの「ケネ」が登場しますが、意味は全く違うという...。 「あまり量が多すぎて、もう食べられないよ!」「大丈夫大丈夫!喰っちゃえよ!」 まあ、こんな感じです。 同じ日に投稿した内容で、こんなのもありました。 題材は、「ツガル」。 A「オメ、ツガルツガルダナ?」 B「ツガル。ワ、ゴショガラダ」 A「ヘバ、ツガルダバナ。」 B「ナモ、ツガルッテ。ゴショガラドツガルツガルダネ。」 A「ハァ...?ツガルツガルツガルダナ。」 ...と、カタカナにするとまるでどこか異国の言葉みたいですが、通じる人には通じるんです。 で、「ツガル」(時と場所、年代によっては、「チガル」と発音する例もあります)。 ここで使われているツガルには、二つの用法があります。 一つは、世間一般に知られている「津軽」という意味の「ツガル」。ところが、市町村合併により五所川原市の隣に「つがる市」という市が誕生、津軽地方との差別化において混乱を招く要因となっています(ウソです)。 もう一つの用法というのは、「違う」という意味の「ツガル」です。 同音異義語。発音は一緒だけど「ツガル」意味を持ち合わせているわけですな。 で、先ほどの文章を和訳すると、 「キミ、津軽出身と違うの?」 「違うよ。俺は五所川原出身だ。」 「じゃぁ津軽じゃないか。」 「イヤ、違うんだって。五所川原とつがるは、違うんだよ。」 「はぁ?津軽とつがるって、違うのか?」 とまあ、こんな感じでちょっと噛み合わない会話をしていたワケですな。 僕も亡父の影響(オラのトッチャ、白神山地のある中津軽郡西目屋村の生まれだのさ。ま、3歳までしかイネガタンダバテノ)で、かなり津軽弁の訛りがキツい方だと自覚しているのですが、そういえば最近、津軽弁をガッツリ話す人とあまり出くわさなくなったな、とか思ったり。 交通網の発達によりこれまで以上に他県や都市間の交流が盛んになり、津軽弁を話すことに対する引け目を感じる人が多くなったのか、はたまたさまざまな異文化と接することで、「津軽弁」そのものが廃れ始めているのか、それとも、親御さんが綺麗な言葉を話すので、お子さんが津軽弁を話さなくなったのか、あるいは、ネイティヴな津軽弁を話す人たちが、すっかり引きこもってしまったのか...。 まあ、僕だって別に津軽弁を流暢に話すワケじゃないし、何でもかんでも津軽弁を知っているワケではないのですが、逆にアレですかね、皆さんからすれば、僕こそが「津軽弁をガッツリ話す人」みたいな印象なんですかね(笑)。 関係者の皆さん、このままでは津軽弁が無形文化遺産になってしまうのではないかと一人で勝手に懸念しています。「津軽ひろさき検定」の次は、思い切って英検に倣って「津軽弁検定試験」なんて、どうですか?(笑)

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