2015年9月21日

敗軍の将は以って勇を言うべからず。- 第30回田沢湖マラソン -

まあ、別に敗軍でもなければ将でもないんですが、今回の田沢湖マラソンを走り終えた直後、こんな言葉が頭をグルグル巡っていました。 空回りしない程度の気合いと、2キロ増の体重を背負って、いざ秋田県は田沢湖へ乗り込んだ...まではよかったのですが、この日まで目まぐるしく変わり続けた天気予報、雨が降らなきゃいいなあ、と思っていたら、降っていたのは明け方までで、スタートの時刻を迎える頃には、見事にピーカンな晴天が我々を待ち受けていました...。ゴール付近の足場は最悪でしたが。 DSC_2389 目標タイムは200分。今回を含めて残り3回しかないフルマラソン、何とか昨年の記録を越えなければと思っていたのですが、まず拍子抜けしたのは、スタート地点が変わっていたことでした。 で、何が困ったかというと、スタート地点が狭い、そして、前回まで陸連登録者は前列からのスタートだったのに、もはやめちゃくちゃ。まあ、そんなの走り出したら関係ないんですけどね。 午前10時。各コース一斉にスタート。スタート時点で20度近くまで気温が上がっていたみたいですが、雨上がりの晴天、ということは蒸し暑いわけですよ。 スタートしてすぐにちょっと坂を上ると、そこから先1キロはずーっと下り坂が続きます。 頭の中を空っぽにして、まずはいけるところまでいってみるかと、かなりのハイペースでレースに入っていきました。 最初の1キロが3分55秒、5キロ通過が約23分、10キロ通過が約46分、15キロ通過が約1時間8分。 ハニーグッドのカズハルさんとタカギくんの姿はあっという間に見えなくなりましたが、5キロ手前でコウシンさんから背中をポンと叩かれ、そのあとはコウシンさんをペースランナーのようにして追うような感じ。コウシンさんだとちょっと早いな、と思ったので、さらにその前を走るアツシ先生の背中を、15キロ過ぎまで遠巻きにずっと追っていました。じりじりと暑さを感じながら、汗が噴き出るのを感じていました。一方で、風も吹いていたので押されたり押し返されたり。 やがて19キロ付近でとうとうアツシ先生の背中を捉えました。ところが、このあたりで既に足裏に違和感があったんですね。 でも気にしない。あきらめたら終わり。そこですべて終わり。 ずーっと頭の中でその言葉を反芻しながら、中間地点通過。1時間38分03秒。まあ、想定の範囲内でしたが、前半の飛ばしっぷりを考えるとペースが落ち始めているのは明らかでした。 そして22キロ手前、ハニーグッドのマコトさんからの声援に応えます。いよいよ田沢湖畔にやってきました。が、足裏に続いてアキレス腱の辺りにも痛みが出てきました。 ううむ。でもあきらめたら終わり。そこですべて終わり。 何度も何度も繰り返すその言葉。時折田沢湖に目を向けて気を紛らわします。 25キロ過ぎ。給水ポイントを過ぎた直後に、空腹を覚えました。既に補給食は35キロ手前で摂取することにしていたカフェイン入りのゼリーしか残っていません。 気になり始めると、今度はそのことしか考えられなくなってきました。 ところが、27キロを過ぎたあたりで、思考回路が回り始めなくなっていることに気がつきました。 腹が減っているからだろう、と顔を撫でると、とんでもない量の塩が噴き出ていました。 やばい。脱水起こしかけてる。30キロの給水ポイントで水とスポーツドリンクを口にした後で、バナナを一切れ。で、口に頬張って走り始めたときにまた気づきました。あちゃー...バナナを流し込む水がない。 ここで何かがプツンと頭の中で切れました。とうとう脚が止まり、動かなくなりました。脇に寄って呼吸を整えようとしたその時、ポンと背中を叩いたのは、ハニーグッドのナオキくん。何も言えず、「行け!いける!」と手と目で合図。ナオキくんも何も言わず、走っていきます。その後も走って歩いて立ち止まっての繰り返し。 あー、なんでこんなきついんだ。脚は動かないし頭は働かないし。もう、やめるかな...。 そう考え始めたその時、背後から聞き覚えのある声。 「ほら、マカナエさん、行くよ!」 そう言って背中を叩いてくれたのは、先行していたはずのコウシンさん。 どうやら気づかないうちにどこかで抜き返していたようです。 ハッと我に返り、コウシンさんの背中を追います。...が、それも約500メートルまで。またしても脚が止まってしまいました。 もう、何をどうしていいのかもわからず、歩いたり走ったりの繰り返し。 それでも時々例の言葉、そう、あきらめたら終わり。を反芻していたんだから、オレってバカですよね。 で、いよいよ36キロ手前から現れる壁に差し掛かったあたり再び脚が止まって、軽くストレッチしていると、「大丈夫?いける?」と声を掛けてくれたのは、19キロ付近で別れたアツシ先生。 「先生、行ってください。」というと、「いや、俺ももう限界なのよ。」と言いながらゆっくり坂を上っていきます。 とりあえずこの山だけは何とか越えないと、と騙し騙し歩いたり走ったり。 下り坂、37キロの表示。昨年のトラウマとばかりに両足が攣ったあの光景が脳にフラッシュバック! うう...我慢我慢...。そう言いながらゆっくり山を走り終えます。あとたった5キロなのですが、この5キロの長いこと長いこと。よくもまあ42キロも走ろうなんて考えたものだ、とアツシ先生に近づいては離れ、また近づいては離れを繰り返しているうちに、残り3キロとなったあたりで大声をあげながら逆走してくる女性が。 危ないなあ、と思ってよく見たら...。 「お!77番!がんばれがんばれ!」 なんと、ゲストランナーの高橋尚子さんでした。高橋さんとハイタッチを交わし、再び笑顔を取り戻します。もはや200分どころか3.5時間はもちろん、3時間40分も切れない情勢になっていましたが、アツシ先生と反省の弁を語りながら、最後は再び先生の前へ。ようやくゴールしたのは、スタートから3時間45分23秒後のことでした。 DSC_2394 脚の痙攣はほぼありませんでした。が、それ以前に走る前からあったアキレス腱の痛みを何とかしないと駄目ですね。粉吹き芋のような顔、ふくらはぎのゲーターに浮いた塩のことを考えると、水分も塩分も補給が全然足りていなかったのでしょう。言い訳はしませんが、反省の弁はいくらでも口をついて出てくる、そんな状況です。 北海道マラソンでは、昨年の記録から15分早くゴールしました。そして今回の田沢湖マラソンでは、昨年の記録から17分遅れてゴールしました。借金生活突入です。何とか去年の自分を超えられるよう、もう一度根性叩きなおそうと思います。 普段は伏字にするのですが、今回は敢えて実名を出して投稿させていただきました。 お名前を出させていただいた皆さんには本当に感謝しています。 そして今回の田沢湖マラソン、最初から最後まで同行してくれた畏友のザワ先生、走り終えた後にわざわざ電話を掛けてきてくれたキャプテン、トミタ氏にも多謝! 皆さん、本当にありがとうございました。不甲斐ない走りで、ごめんなさい。

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