2005年5月20日

夫婦の会話

昨日の朝は出がけに、定期券を忘れたことに気がつき、結果電車1本遅らせることになりました。今朝は電車に乗り込んでから財布を忘れたことに気がつきました。今日は一文無しで過ごさなければなりません...。
毎日1つ忘れ物がお約束となりつつあるnonveyです。

久しぶりに昨日は、途中駅から五能線に乗り入れる快速で帰路に就きました。快速といっても2両編成のディーゼルカー。ベンチシートではなく、ボックス席です。これがまた何だか旅情を誘って、通勤している気分を忘れさせてくれます。それに、どこかの快速とは違って、のんびりとした雰囲気で走っていきます。

ところが長いトンネルを抜け、途中駅を通過したその時でした。

ガガガ...キィーッ!

突如快速が停車しました。オーバーランか?でもここ通過駅だよな...。事故か?何だ?いろんなことが頭を駆けめぐります。ざわめく車内。そこに、車内放送が。

以下、緊迫した車内からのレポート。

車掌 「ただいま緊急停止信号を受信しましたので、この列車は緊急停車をしました。ただいま情報を収集しますので、お客様にはご迷惑をお掛けしますが、しばらくお待ち下さい。詳細がわかり次第、ご案内します。」

聞き取りにくい車内放送。そして数分後...。

車掌 「お客様にご案内します。先ほどの緊急停止信号は、弘前−石川(弘前の隣の駅)間において、人身事故が発生したことによるものと判明しました。このため、現在奥羽線の青森−弘前間は全て列車の運転を見合わせており、再開の見通しが立っておりません。お客様には大変ご迷惑をおかけしますが、しばらくお待ち下さい。」

小さな声の車内放送に聞き耳を立て、落胆と失望の声が上がり、そして途方に暮れる乗客。よりによってこういう時に限ってこんな事故があるんだよなぁ。しかも弘前から先って、1時間に1本も列車走ってねぇだろうよ。何でそんなところで人身事故なんだよ...。

青森から隣のボックス席に座っていた夫婦は、出発してからも相当訛りのきつい津軽弁で会話していたのですが、この放送が耳に入ったのか、突然こんな会話を始めました。それも、かなり大きな声で。さぁ、みんなも声に出して読んでみよう(笑)。

オガ(妻) 「ンニャニャニャ...。フェロサギどイスカワの間でズンスンズコだざぁ。こぃだば、いづ出発するがワガネな。ンニャニャニャ...。」
(訳:あらまぁ。弘前と石川の間で人身事故が起きたんだって。これなら、いつ出発できるかわからないわね。)

オド(夫) 「ンロォ。何テ?ズスン起ぎだてナ。シタバッテ、フロサキどエスカワの間のズスンだば、コズだばナモ関係ねぇべな。」
(え、何だって?地震が起きたのか。でも、弘前と石川の間の地震だったら、こっちは何も関係ないでしょう。)

オガ 「ナモやオド、ズスンでネくて、ズンスンズコだどや。」
(そうじゃなくてお父さん。地震じゃなくて、人身事故なんだって。)

オド 「アラ。ズンスンズコだな。ンダイナ。ズスンだば、わんつか揺れるヤナ。」
(あらまぁ。人身事故だったのか。そうだよね。地震だったら少しは揺れるよね!)

他の乗客 「......。」(でも、下を向き口をへの字に曲げ、肩を振るわせながら笑いをこらえている人が数名。含む俺。)

15分ほどして、快速はその場から出発しました。しかし、いつ停まってもおかしくないというスピードで徐行運転を続け、ようやく次の駅に到着。ところが単線のためか、待てど暮らせど動く気配なし。

そこへ再び、蚊の鳴くような声の車内放送が。

車掌 「お客様にご案内します。ただいま、事故現場で警察による現場検証が行われております。これに伴い、この先弘前までの全ての駅に列車が停車しており、この列車も出発できない状態となっておりましたが、現在下り線(青森方面行き)から順次運転を再開しており、この列車も間もなく出発できる見込みとなっております。お客様には大変ご迷惑をお掛けしますが、もう少々お待ち下さい。」

あちゃぁ...現場検証ってことは、きっと亡くなっちゃったんだろうなぁ。飛び込みかなぁ。ただの事故かなぁ。

しかし、なかなか出発しない快速。中には痺れを切らして、他の交通手段に切り替える(あるいは家族に迎えに来てもらう)べく下車する客も出てきました。

程なく下り線には普通電車が入線、すぐに出発した直後に今度は特急が入線(何度も言いますがこの区間は単線です)。

それを見た例の旦那が、苛立ちながら再び口を開きました。

オド 「オガや。この汽車、イヅさなれば出るダバ。」
(ちょっと母さん、この列車はいつになったら出発するんだろうね?)

オガ 「オラ分ガルワゲねッキャ。シャショさ聞いで来ナガ。」
(私がわかるわけないでしょう!車掌さんに聞いてくればいいじゃない。)

オド 「シャチョって、ドさいるダバ。どごのシャチョさ聞げばイイズヤ!」
(社長って、どこにいるんだよ。どこの社長に聞けばいいんだよ!)

オガ 「ナもヤ、オド。シャチョでねくて、シャショや。後ろサいだベナ。フッ!」
(そうじゃなくてお父さん...社長じゃなくて車掌さんよ。後ろの車輌にいるでしょうよ。ふんっ!)

他の乗客 「.......。」(数は減ったが、再び下を向き口をへの字に曲げ、肩を振るわせて笑いをこらえている人が数名。もちろん含む俺。)

...ようやく出発し、途中駅で乗り換えの為に下車する際、その夫婦は下車しませんでした。
結局40分近く遅れて弘前駅に到着。

今朝になってわかったのですが、踏切で中学生が貨物列車に接触し、怪我を負ったとのこと。怪我で済んでよかったね、という反面、何で踏切で接触なんかするんだよ馬鹿たれが!という怒りも沸々と。

でも、あの夫婦がいたお陰で、待たされる時間もそんなに苦痛じゃなかったし。それにしてもあの夫婦、生粋の津軽弁ネイティブスピーカーだな。普段からあんな調子なんだろうか...。

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コメント(11)

nonveyさん、あなたは天才です。
津軽弁を見事に文字に表現できるのはあなたしかいません。

場面が思い浮かんで、爆笑してしまいました。

nonveyさんの標準語訳なしには私には理解不可能な言葉が多々ありました。
ンロォ、ナモやオド、etc。。きっとこれらの発音方法も、イギリス英語のようなカタカナ読みでなく、アメリカ英語のような発音(舌を丸めるとか)なんでしょうか。
生で聞くと、きっともっとわからへんやろぁ。。。

>shuqooさん


おおお!地元民にそんなことを言われちゃうと、とっても嬉しいのであります!つか、本当に嬉しいぞ。北海道だか青森だかハッキリしない田中義剛には負けませぬ。目指すはブログ界の伊奈かっぺい、なんちゃって(笑)


>ペーズリーさん


津軽弁っていうのは、吉幾三や青森県出身者がなんかたまに使っているような、あんな綺麗な言葉じゃないんです。青森が舞台のドラマなんか観ていると、正直言って失笑連発。
もっとも、吉幾三の地元こそネイティブスピーカーの宝庫と言われていますが、同じ青森県民でも理解できない言葉、聞き取れない言葉がボンボン出てきます。
僕は正直、最近訛りが強くなっていることに対して、自己嫌悪にも近い違和感を覚えていたのですが、津軽弁の素晴らしさを、この場を借りてまた披露したいと思います。

では、ペーズリーさんが疑問に思った3つの言葉をレクチャーしましょう。

「ンロォ」のロは、巻き舌です。感嘆にも近い表現です。
「ナモ」は、「何も」から「に」を抜いて言ってみて下さい。
「オド」は、「お父さん」に濁点をつけて(オドウザン)、後半(ウザン)を省略した感じ?

ちなみに津軽弁って、フランス語と韓国語が混じったような...多分。

青森県のNOVAには、「標準語」コースがあるんですよ(ウソです)。

対訳なくして理解は不可能ですね(笑)

マヂで、笑いました!
口をへの字になんか、結んでられねっきゃの!!

あははははは!爆笑しました!最高!!!!!!!!!
それって漫才のネタなんじゃないの?ってなくらい、出来すぎた会話だね!!!!!!

>津軽弁っていうのは、吉幾三や青森県出身者がなんかたまに使っているような、あんな綺麗な言葉じゃないんです。
>青森が舞台のドラマなんか観ていると、正直言って失笑連発。

っていうか、そのまま流したら通じませんから!!!!!!!! 
韓国語を耳にすると、あれ?今の津軽弁?と間違う事多しですね。あと宮崎弁?もにてるような気がします。
だば、のんちゃん。まだ、おもしろいネダまってるはんでのー。

>>てつさん

ご、ごもっとも...(汗)。訳をつけずに、何と言っているのか予想して貰えばよかったかな...。


>>きっこさん

んだべ?への字っていうか、顔が真っ赤になってゆがんでいる人もいたよ。


>>へなこさん

確かに漫才みたいだった。.作り話みたいだけど、私の想像力はそれほど豊かではなく、あくまで事実に沿った内容ですのよ。

考えてみるとそうだよね、こっちでもよくわからない言葉なのに、そのまんま流したところでわかるわけないじゃんねぇ。何言ってるんだ?俺。

ちなみに私、秋葉原で妹と妻と津軽弁で会話をしながら闊歩していたところ、中国人もしくは韓国人の方から現地語で話しかけられ、非常にとまどった経験があります。ハイ。

スラスラ読めた。
スラスラ理解できた。

だって・・・・(´・ω・`)。
面白かったです。
この企画(?)またお願いします。

あなたもネイティブスピーカーかな(笑)。
青森発・五能線深浦行きの快速に乗ると、稀にこういった賑やかな人たちに出くわすことがあります。
でもなぜかこの列車に乗ると、睡魔が増幅されるんだよね。あんまり話し声も気にせず、気が付いたら熟睡しているという...。今後は周囲の声に聞き耳を立てたいと思います。

わぃ〜おもしぇの〜!
したばって、現地の人さすれば結構普通の会話だっきゃな〜(笑)

わのかっちゃも、岡山県さいった時、韓国人さ間違わぃだおん。

帰省してばっちゃどしゃべったばって、わの津軽弁もまだまだだ。
どんだんずのCD聴いで勉強しなおすじゃ(笑)

おおお疲れでした〜 Gunnie殿

津軽弁の訛りって、韓国さ似でるんだべの?よぐ間違われる人いるよな。

オラもまだまだだな。って、別に津軽弁極めるつもりはネけどさ。

そういえばどんだんずの橋本さん、元々三沢の人だがら、微妙にアクセント違うっきゃ(笑)。

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