2014年6月17日

仲間とつなぐ襷と絆 - 第2回弘前城リレーマラソン

昨年6月に初めて開催された「弘前城リレーマラソン」。 今年は更にパワーアップし、参加チームが昨年の100チームから倍増の200チームまで、一チームあたりの参加者も10名から20名までとなり、最大で4倍の参加者が見込まれる大会となりました。 実際エントリーがあったのは総勢180チーム、約2,000人。昨年エントリーしたチームのうち約7割が、今年もエントリーしたとのこと。裏を返せば、それだけ昨年の大会が盛り上がったということなのでしょう(ちなみに残り3割の中には、私が昨年出場したチームも含まれておりますが...)。
弘前城リレーマラソン 2千人出場 弘前市の弘前公園内をコースに42.195キロをたすきでつなぐ弘前城リレーマラソンが15日、県内外の180チーム・約2千人が参加して開かれた。小雨の中、選手たちは新緑や天守などの眺めを楽しみながら公園内を駆け抜けた。(6月15日Web東奥)
弘前公園内に設けられた1周約2キロという微妙な距離の周回コースを自らの脚で駆け抜け、20回襷をつないで21周、約42.195キロを走るというこの大会。チームによっては、一人で一気に2周(あるいはそれ以上?)する選手もいたり、子どもと一緒に走る大人がいたり、状況はさまざま。それもまた、この大会の楽しいところであります。 コースのポイントは、襷を受け取った後、1キロ過ぎに現れる高低差約10メートルの上り坂をどうやって攻略するか。あとは、今年から新たにコースに加わった東内門手前から続く右往左往のコースをいかに効率よく駆け抜けるか、といったところでしょうか。 僕は今回、弘前公園ランニングクラブ内で結成された4チーム(うさぎ、かめ、かたつむり、千鳥足)のうち、最速メンバーが揃った「チームうさぎ」の一員となることが決定。いや、実のところ僕より速い人はたくさんいるんですけどね、ホント恐縮かつ感謝。 当初各チームとも10名編成だったのが、諸般の事情により9名ずつとなったり、更には子どもたちから一緒に走りたいという申し出があったり、大会直前までチーム編成に関して色々ありましたが、「チームうさぎ」だけは9名編成のまま変わらず当日を迎えました。 脚力の揃った20代から50代までという幅広い年齢層で構成されたこのチーム、メンバーそれぞれが持ち味を十二分に発揮することとなりました。 天気予報は曇り時々雨。降水確率60パーセント。 前日も断続的に強い雨が降ってり止んだり虹が出たりと、天気の移り変わりが非常に激しかったのですが、この日は朝から雲が空を覆い尽くしていました。 午前8時30分頃に会場となる弘前公園内の陸上トラックに到着すると、昨年を遙かにしのぐ大勢の人々が集まり、あちこちにテントが張り巡らされていました。 弘前公園ランニングクラブも、メンバーが揃ったところで各チームがどういった順番で走るか作戦会議。...とは言っても、別に走る順番に誰もこだわりはなく(「チームうさぎ」の第1走を除いては)、誰が3周走るか、ということが話し合いの主たる目的となりました。私、昨年は5周しましたが、さすがに5周なんてやるものじゃないです。ヘラヘラしながら走ってはいたものの、端から見てもかなり辛そうに見えたそうです。 ...ということで、後進に道を譲る、というワケではないのですが(笑)、今年は20代から30代の若手4名が3周し、二日酔いだったり走らない理由を色々と考えたりしていた40代以上のオッサン連中の穴埋めをしてくれることになりました。 9時から代表者会議が行われたあと、開会式。 空からは小雨が降っていましたが、気になるほどの雨ではありませんでした。 「チームうさぎ」の先陣を切るのは、昨年の大会で驚異のスタートダッシュを見せつけ、強烈な印象を各チームに植え付けたSくん。(昨年は、翌朝の新聞の紙面も飾りました。) 今回は参加チームが180チームに増えたということもあり、前回のスタート地点であり襷の受け渡し場所であった陸上トラック(1周300メートル)ではなく、亀甲門前がスタート地点となりました。 徐々に近づくスタート時刻に向け、各チームの最初のランナーが集まり始め、それを応援するためにメンバーも集まり始めます。この頃には、小雨も止んでいました。 そして午前10時、横一斉に並んだ各チームの選手が一斉にスタート。 その中でも群を抜いてスタートダッシュを決めたのは、やはりSくんでした(ちなみに、スタート直前にこっそり聞かされた「福男賞」(スタートから約200メートル先にある鳥居を最初にくぐった人に与えられる賞)をゲットしたのは、Sくんでした!)。 いよいよ弘前公園内を21周する大会が始まりました。 それぞれのチームが襷受け渡しゾーンの側に陣取り、第一走者が戻ってくるのを待ちます。 ...6分後。最初のランナーが襷受け渡しゾーンに現れました。めちゃくちゃ速い! 「チームうさぎ」のSくんは、それから約1分遅れて次走のNさんに襷を受け渡しました。猛然とスピードを上げるNさんの姿が、どんどん小さくなっていきます。 他のチームも続々と次のランナーに襷を渡し、襷受け渡しゾーンのあちこちから歓声が上がります。 いよいよ僕も、自分の走る順番が近づくにつれ、徐々に緊張感が高まってきました。 「あー...この感覚、去年何度もあったなぁそういえば...。」 そう思いながら、魚の被り物をしたまま飛び出していった第3走であるIくんの到着を待ちます。 最後の下り坂を走ってくる魚の被り物...いやIくんの姿を確認。その姿を見て、緊張感がピークに達していました。 第4走として襷を受け取り、スタート。たかが2キロ、されど2キロ。何度も朝練で走っていたし、昨朝も走ったばかりなのに、観客の数と前を走るランナーの数にペースを乱しそうになります。 タイムは一切計っていないので、どれぐらいのペースなのかはまるでわかりません。ただ、前を走るランナーを続々と捕捉し、追い抜いていきます。 (ちょっとペースが速いかな...) ふとそんなことが頭をよぎると、500m通過の看板。その他にも、津軽弁でランナーを励ます言葉が書かれた看板が現れるのですが、頭が真っ白すぎて文字が入ってきません。 土手を左にカーブすると、程なく1キロ通過の看板。直線の先にはいよいよ坂道が現れます。ここで一気に加速し、再び前を走るランナーを追い越します。 上りきったところで既に息が上がっていた状態ですが、この日、救護係に回っていた同じチームのTさんから「...!!」と声を掛けられ、再度加速(ただし、何と言われたのかは、わかりませんんでした...)。 そして、昨年はなかった「ハイタッチゾーン」へ脚を踏み入れますが、両手でタッチをする素振りだけを見せて、通過駅を通過する快速電車(特急ではないところがミソです)のように駆け抜けます。 ここから自分でもペースが落ちたことがわかりました。脚に力が入りません。しかしまだ700mほどあるはず。ここでへこたれて他のメンバーに迷惑を掛けるわけにはいかない...もう一度鞭を入れ、今回から追加となったコースへ歩を進めます。耳に入ってくるのは、細かな砂利を踏みしめる音と、自分の荒い息づかいだけ。声援もあちこちから送られていましたが、ほとんど耳に入ってきませんでした(皆さんごめんなさい)。 最後の下り坂を一気に駆け下り、いよいよトラックへ。短くもあり長くもあった2キロ。「ごめん...」とだけ呟き、ようやく襷を次走のKくんに渡し、背中をポンと叩きました。 8分07秒。他のメンバーが軒並み7分50秒台を出す中、このチームの中ではハッキリ言って遅いです。 ううむ...。 色々考えました。 そういえば、僕を追い抜いた人が一人もいなかったな...。ハイタッチゾーンを過ぎた直後、一瞬だけ気を抜いたな...。と同時に、力も加減したな...。後半、まだ余力があったな...。 もう、頭の中に浮かぶのは反省の弁だらけ。 もういい。次、次がんばろ。 いつもならしばらく引きずるところ、珍しく気持ちを早めに切り替えて2周目に臨むことにしました。 天気予報とは裏腹に雨が上がり、青空が顔を覗かせています。急に太陽の日差しが強くなりました。 その間も各チームの周回は続き、速いチームは1時間ほどで10周目突入...。 1時間17分後には我々のチームも10周目を終え、いよいよ僕自身の2周目が近づいてきました。 昨年の経験からすると、2周目以降にタイムが上がるなんてあり得ないんですよね、僕...。 しかし、もしかしたら、ひょっとすると...なーんて、あわよくばの思いを描いてみたり。 おっと、そんなことを妄想しているうちに、再び魚の被り物をしたIくんの姿が見えてきました。 黄色の襷を受け取り、2周目スタート。 トラックを出て程なく、背後からザッザッと砂利を踏みしめる音が聞こえてきました。 それも一人ではなく、複数の足音。 スタートして200メートルも進んでいないのに、一気に二人に抜かれました。 ボッ!と何かに火が付いたのがわかりました。 僕を追い抜いた背中をひたすら追いかけます。 ...が、それも500mまででした。先を行く姿がどんどん小さくなり、1キロ過ぎの上り坂では、その背中は遙か向こうを走っていました。 ...とその時、再び僕の横を抜ける2人のランナー。 あ...。 すぐ横を駆け抜けていったランナーの後ろ姿を見て、それが誰なのかすぐに気づきました。時々一緒に練習している、Oくん。 この時点で5人目となるランナーの後塵を拝していた私、消えかけていた火がこれでガーッと再点火。 坂を上り、再び「ハイタッチゾーン」へ脚を踏み入れ、今度は通過駅を通過する急行電車(あくまで特急ではないところがミソです)のように駆け抜けます。 前を走るOくんの背中をひたすら追いかけ追いかけ追い続け、結局最後の下り坂で一気に離され...。 しかしそのままの勢いで走っていたため、襷受け渡しゾーンには凄い形相で現れたのではないか、と...。 再びKくんに襷を繋ぎ、僕の今日のノルマは終了。 IMG_4367 (1024x682) 少し離れた場所で息を整えてからメンバーがいる所へ戻ると...。 「マカナエさん、凄いっすよ!10秒も縮めてます!8分切ってますよ!」 何と2走目で、初めて8分切りを達成。嬉しい反面、5人ものランナーの後塵を拝したということもあり、複雑な気分になりました。皆さん、こんな走りっぷりでホントすいませんでした...。 ところがどうやら、僕のタイムを見た(一部を除く)若年層メンバーに火が付いたらしく、このあと皆さん、続々と7分台を連発しまして...。まあ、それはそれで良かったんですけどね! おお、そうだそうだ。 10周目の後に提出しなければならない中間報告を忘れてた、とタイムを書いた紙を本部に持参すると、既に上位の中間成績が張り出されていました。 ざっと見たところ我がチームは、この時点で何と暫定第10位にいることが判明!しかし9位より上のチームとはかなりタイム差があり、むしろ10位以下のチームと拮抗状態。 ひょっとしたらさっき誰かに抜かれた時点で、順位が下がったかも知れない(イヤ、実際下がったんだと思います)...と考えたら、ちょっと気が重くなりました。 再びフィールドに戻ると、ちょうど子どもたちが襷を繋ぐシーンに遭遇。 大人も一生懸命走っているけれど、子どもも一生懸命。小学生が走る距離としては決して短い距離ではない2キロを、懸命に駆け抜けたその姿を見て、大人たちは皆胸を熱くしていました。 襷を繋いで同じ目標を目指す。何か、いいですね...。 そんな感動的なシーンの後はひたすら大声で声援を送り、後続のメンバーのタイムを計測し、持参したカメラで襷を繋ぐ場面をひたすら撮影していました。 ふと見ると、他のチームで立て続けに赤い文字のゼッケンナンバーをつけたランナーが襷を受け取るのを確認。 赤い文字のゼッケンナンバーは、最終ランナーを意味します。 どうやら彼ら、国を守る本気走りのエキスパートだったらしく...。 1位のチームは結局、2時間台前半のタイムでゴール!程なく2位のチームもゴール! そして、続々と他のチームの最終ランナーがゴールゲートに向かい、同じチームの選手たちが一緒にゴールゲートをくぐる、というシーンを見るようになりました。 さて、「チームうさぎ」の最終ランナー、ハイトーンボイスのリーサルウェポンことIくんも最後の襷を受け取り、いよいよ我々もゴール付近で彼の到着を待つこととなりました。 しかし、待ち人来ずといいましょうか、なかなか魚の被り物の姿が見えてきません。 ようやく姿を確認できたのは、最後に襷を繋いでから8分以上経過した後。 どうやら「最後は楽しんで走ってきなさい」という僕のアドバイスを真に受け、ホントに楽しんで走ってきたらしく...(苦笑)。 結局、2時間49分55秒、12位という記録でゴール! 昨年より多少距離が伸びたコースとはいえ、かなりいい成績を収めたといってもいいのではないでしょうか。...しかしながら「チームうさぎ」、実は昨年入賞を果たしており、昨年出場した各チームが今回、上位入賞を狙ったチームを組んできたということを差し引いても、ひょっとしたらちょっと物足りない成績だったのかも知れません。 その中にあって、僕のタイムを考えると、チームの中で足を引っ張る結果になってしまったのかなあ、と一人反省。(まあでも、それがリレーマラソンの面白いところでもあるのかも知れませんが。) チームうさぎ (ゴール直後。実はこの時メンバー1名が諸般の事情で不在でした。) 来年はあと数歩のところで手が届かなかった入賞を狙いたいところ。 でも、今のままだとまだまだ実力が足りていません。 来年僕が「チームうさぎ」に残れるかはかなり怪しいところですが、もっと強くなりたい、という思いが沸々と。強さを求めれば、きっと速さは後からついてくる、と確信。 チームうさぎ記録 (チームの各メンバーの走行記録。私は4番目と12番目を走りました。) ...とはいえ、リレーマラソンが襷を繋いで総合力を競う大会であることを鑑みると、個人の結果に一喜一憂してはならないのかも知れません。むしろ、あまりストイックにならなくても良かったのかな、と(チームの皆さんすいません)。 実際、弘前公園ランニングクラブの他の3チームにも一生懸命声援を送ったし、この大会を経てなお一層仲間意識が強くなったというか、とても楽しい大会でした。 走り終えた直後から雨脚が少し強くなりました。弘前公園ランニングクラブの各チームは既にゴールしていましたが、まだ雨降る中多くのチームが最後の力走を続けていました。 撤収を終え、解散となった帰り際、最後のランナーが走る場面に遭遇しました。 スタッフの方が「最後の方が来ますよ。」と教えてくれました。 自然と、声援に力が入りました。 「あともう少しです!ガンバです!」 その方は、こちらの声援に手を挙げて応えて下さいました。 グッと胸が熱くなりました。スタッフにお礼を申し上げました。逆にお礼を言われました。 端的なやりとりではありましたが、その後もスタッフやボランティアの方々と挨拶を交わす場面に出くわしました。 何だろう、この「また来て下さいね」といった雰囲気。 昨年も同じことを感じましたが、こういう細かいところに対する配慮があるというのが、心温まる素晴らしい大会だと思いました。もちろん来年も参加しますよ! あ...何と次は、「弘前城リレーマラソン・冬の陣」も開催されるらしいです! 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