2010年5月14日

役に立たない津軽弁講座

久しぶりに津軽弁のことを書こうと思う。
津軽弁のネイティヴスピーカーを自負していたが、津軽弁は実に奥が深く、僕なんてまだまだなんだということを痛感させられている。
いよいよ東北新幹線新青森駅の開業が12月4日に決まり、これから青森県、そして僕の住む津軽の地を訪れる人も多くなることだろう。
そんな皆さんのために、津軽弁講座を一席設けてあげよう、と上から目線で迫ってみたいのだが、ほとんど役には立たないのであしからず。

お母さんのことをママ、と呼ぶ人も多いが、津軽ではお母さん以外にもママの用途がある。

Q:「ママ、ママ、ケ。」

これには二つの意味があって、

A1)お母さん、ご飯ちょうだい。
A2)お母さん、ご飯食べてください。

という意味を持つ。要するに津軽弁では「ママ」のことをご飯ということがある。
なので、これが標準語と入り交じると、ちょっと斬新な訳になる。

A3)お母さん、ご飯が毛!

ご飯に毛ではなく、ご飯そのものが毛という、何だかホラーチックな事態に。
ちなみに「ケ」という言葉は更にいろんな意味を包含しているのだが、以前「ケネ」でも紹介したことがあるので、今回は割愛。

さて、津軽弁でお母さんを指す言葉はいろいろある。その中で紛らわしい代表格が、「カッチャ」だ。

Q)「カッチャ、カッチャ。」

別にグラスをぶつけ合っているわけではない。何がカッチャなのかは謎だが、お母さんが何かをカッチャにしているらしい。多分、息子か旦那がポツリと注意したのだろう。用途としてはこんな感じだ。

A)お母さん、(服が)裏返しだよ。

つまりカッチャというのはお母さんの他、裏返し、つまりinside outの意味合いを持つ。
ちなみにカッチャとカッチャの間に「何」が入ると、

Q)「カッチャ、何カッチャ。」

これはお母さんの衝動買いをやんわりと制しているのだろう。語尾をのばしながら、疑問符が付くとなお一層効果的である。

A)「お母さん、何を買っているの?」

さらにもう一つ紛らわしいのが、カッパ。

Q:「カッパのカッパ、カッパだな。」

別にどこかの穴がカパカパだとか、そういうことではない。
カッパというのは言うまでもなく童話等に出てくる河童の他、雨合羽などのカッパとして津軽でも普通に使われているのだが、もう一つの用途がある。

A:「河童の合羽、上下逆だな。」

最近お笑いタレントでもやらなくなった上下逆の被服着用。河童は逆立ちして何かをしようとしていたのだろうか。

ちなみにここでのカッパはupside downの意味。inside out カッチャとの微妙な使い回しが、津軽弁を制する道に繋がる(ホントかよ)。

余談ではあるが最近津軽では、「カッパ」というとほぼ9割の確率で寿司屋を思い起こす人ばかりなので気をつけよう。

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