2010年8月11日

タクシーを巡る事情

東北新幹線全線開業を4ヶ月後に控え、二次交通としての役割を果たすことになるバス会社やタクシー業界は、集客に向けてにわかに色めき立っている。

乗合タクシーや禁煙車の導入をはじめとするサービス向上にも取り組んでいるようだが、その一方で6月下旬にはこんな記事が出ていた。

青森と弘前 タクシー3~4割減車へ

 東北運輸局青森運輸支局は29日、タクシー台数が過剰とされる青森市、弘前市を中心とした2交通圏のタクシー事業適正化・活性化協議会を青森市内で開いた。事業者や運転手の労働組合などでつくる協議会は、圏域の現行台数を3~4割削減することが望ましいとする地域計画を策定した。今後、各事業者が減車目標やサービス向上策などを盛り込んだ「特定事業計画」を自主的に策定する。
(2010年6月30日付け Web東奥)

青森や弘前のタクシーが既に飽和状態を通り越していることは、それぞれの駅前周辺や繁華街を見るとよくわかる。下手をすれば一人も乗客を掴めぬまま一日が終わるタクシーだってあるはずだ。しかし、今の台数を減車するということはタクシー運転手を解雇するか、あるいは更に緩いシフトでローテーションを組むしかない。
それでなくてもタクシー運転手を巡る労働条件は、厳しい状況にあるのが実態だ。

厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、全産業労働者の年間賃金平均とタクシー乗務員のそれとは、約200万円以上の差があるそうだ。しかも、平均労働時間を見るとタクシー乗務員が全産業労働者を上回っている。

しかし、青森県内における雇用情勢を鑑みると、一度手にした職を手放すというのは、実に勇気の要ること。そう考えれば、食い扶持の確保のために「致し方なく働いている」タクシー乗務員も少なくないのではないだろうか。

その反動ではないだろうが、タクシーのマナーの悪さは目も当てられないぐらい酷い。

青森市内。数字のついた某大型掲示板では、青森市内のタクシー運転手のマナーの悪さを指摘する声が少なくないようだ。また、交通違反や歩行者の安全を無視した横暴な運転(大体こういう時は客を乗せていない)はもちろん、乗車した時の挨拶どころか、行き先確認もしないといった苦言が、つい最近まで新聞の読者欄を賑わせていた。

また、前述の交通障害を生み出していることもあってか、「青森のタクシーは多すぎる。○○と○○(いずれも会社名)だけでいいだろう。」という声もあるぐらいだ。

通勤のために僕が毎日利用している弘前駅前を見ても、駅前にある外資系ホテルや7の字の看板のある大型スーパー付近では、片側2車線の1車線が客待ちのタクシーで埋め尽くされ、中には交差点の中に堂々と停車し、歩行者や車の往来を妨げるといった交通障害を生み出している。これでは、何のための2車線なのかわからない。それとも弘前駅前の2車線のうち1車線は、「タクシー専用レーン」だったのだろうか。

もっとも、こういったことは青森や弘前に限ったことではないと思う。実際どこの地域に行ってもタクシーというものは、なくてはならない存在でありながら、時としては邪魔でもある存在なのだ。
それが「なくてはならない存在」なのか「邪魔な存在」なのかは、利用者の都合一つで判断されるのだが...。

いずれにしても、タクシーを見る世間の目は全般的に見ても温かいとは言えないだろう。

タクシー会社やタクシー協会としても、乗務員のマナー向上に向けいろいろと取り組んでいるが、それが果たして乗務員の身についているのかは疑問視せざるを得ない。

先日目撃した光景。
電車からの乗客が弘前で下車し、正面口から方々に歩き出そうという時に、タクシー乗り場に停めてある先頭のタクシーの前で、3~4人の乗務員がしゃがんだまま話し込んでいた。しかも、客の姿が見え始めているにもかかわらず、話をやめる素振りさえ見せなかった。一種異様な光景。さながらそれは、年を食った不良どもがたむろしているようだった。その後の顛末は見届けていないが、ハッキリ言ってあれでは客が近寄りがたい。

でも、今朝はもっと凄い光景に出くわしてしまった。

弘前市内のタクシーは最近「禁煙車」を導入しているが、今朝弘前駅のタクシー乗り場で見たタクシーには思わず失笑してしまった。
何と、「禁煙車」とステッカーが貼られたタクシーの乗務員が、車内で乗務員席のドアを開けっ放しのまま、堂々と煙草を燻らしていたのだ。「これは禁煙車だが、俺は運転手だから適用除外」ということだろうか。それとも「乗務員席のドアは開いているから煙の臭いはしないはずだ」という判断だろうか。そういう意味では、実に自覚に欠けた堂々とした行為だな、と。

しかし、たった一人によるあのようなマナー違反が、タクシー業界全体に悪影響を及ぼすこともあるいうことを、タクシー乗務員は今一度自覚すべきだ。

少なくとも「青森県で会った最初の地元民」になりうるタクシー乗務員の皆さん、青森県の心証を悪くするような行動だけはしないで下さい。

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