2010年11月 8日

佐野元春のライブに行ってきました。

鉄は熱いうちに打て。ラーメンは熱いうちに食え。ということで昨晩のライブレポートを緊急掲載。


佐野元春が今年デビュー30周年を迎え、そのアニバーサリー・ライブを敢行している。パート1はスポークンワーズ・セッション『in motion 2010 僕が旅に出る理由』として8月に開催し、パート2は全国クラブ・サーキット・ツアー『ソウル・ボーイへの伝言』として、10月から12月にかけて全国のライブハウスを転々とする内容。パート3は全国大都市ツアー『ALL FLOWERS IN TIME』として来年1月から3月にかけて開催、ツアーファイナルは大阪と東京でそれぞれ開催される予定となっている。

今回僕が足を運んだのは青森市のライブハウス「クォーター」で開催されたパート2のライブだった。クォーターには昔、貸し切りイベントで一度足を運んだきりで、箱の大きさも忘れてしまったのだが、そんなに大きくなかった、ということだけは朧気ながら記憶に残っていた。

前回、大興奮した青森市民ホールでのコンサート(1年と10か月前に遡ります)に引き続き、今回も畏友Z先生を引き連れ(いや、正しくはZ先生の車に乗せられて)、ライブ会場に向かった。

会場に到着したのは開場の5分前。既に多くの人たちが列を作り、寒空の下で開場を待っていた。僕たちが持っているチケットは整理番号80番台。並ぶ位置を係の人に尋ね、真ん中の列に誘導されると程なく、50番までの人たちが続々と会場内へと入っていった。やがて100番までの入場となり、僕らも流れに身を任せ会場入り。入り口の横に目をやると、当日券販売のブースが設けられていた。そうか、ここでも売り切れなかったか...。

まあそれはともかく会場入りすると、改めてクォーターのキャパの小ささに驚かされた。300人も入れば身動きが取れなくなるかも知れない。
前から7~8列目とは言え、ステージまでの距離は10メートルに満たない。届くはずはないのだが手を伸ばせば届きそうな、そんな距離だった。しかも幸いにして、前列には背の低い女性の方が多く陣取っており、ステージまでの視界は極めて良好だった。

ところが...。

飲み物を片手に「すいませーん」と人混みをかき分けてやって来た男性が、何とおもむろに僕の前に立ちはだかったのである。どうやら前にいた女性の連れらしい。しかも僕と身長がほとんど変わらないため、視界はすっかり遮られてしまった。更に周囲には続々と人が集まっており、もはやその位置から移動することは困難。哀れ僕は目の前に立ちはだかる男性の背中を見ながら、ライブを楽しむしかなくなってしまった...。

...しかし僕は男性の背中と頭を観るためにここにやってきたわけではない。なので、ライブが始まり次第立ち位置を微調整しようと割り切った。

周囲を見ると女性の方が若干多い感じ。女性6:男性4、といった感じだろうか。年齢層は圧倒的に40代が多い。「私、ライブハウスって初めてなんだよね。」そんな声があちらこちらから聞こえてくる。ムムム...大丈夫なのか皆さん。

...なーんて、まるでライブハウス熟練者のような言い回しだが、僕自身もZepp SENDAIで観たプリンスが初めてのライブハウス(オールスタンディング)体験で、それ以来一度たりともライブハウスでのライブには足を運んでいない。なので、僕もライブハウス初心者なのだ。

そんなことを考えていると、会場の明かりが徐々に暗くなり始めた。

【以下ネタバレあり!】










ステージ中央には小さなスクリーンが吊り下げられている。そこに映し出されたのは、新春3日に放映予定のWOWOWのスペシャルドラマの告知だった。ここではドラマの内容は割愛。詳細はWOWOWの特設サイトから。

やがてスクリーンが上がり、ステージ上に明かりが灯ると、バンドメンバーが現れる。初めて目にするザ・コヨーテ・バンドの面々。深沼元昭(Guitar)、高桑圭(Bass)、小松シゲル(Drums)、渡辺シュンスケ(Keyboard)と、これまでにはない若い顔ぶれが脇を固めている。

4名がそれぞれのポジションにつくと、いよいよ主役が登場。僕の位置からでも銀色の髪、その一本一本がハッキリと見える。何か寝起きのように目が腫れぼったいが、それは今に始まったことではないので致し方ないとしよう。

前回は前から3列目のど真ん中という位置で大興奮したのだが、今回はまた違った意味で大興奮。そしてその圧倒的な存在感に、会場からは大きな歓声が上がる。思ったほど窮屈感はなく、手拍子も何とか出来る状態(ところがこの後、前の男性が何故か徐々に下がってきたため、結果的に手拍子すらままならない状況に陥るのだが)。

まず、冒頭はアルバム「Coyote」からのナンバーが続く。コヨーテ・バンドなのだから当然、という思いを持ちつつ、このまま「Coyote」からのナンバーで押し通すのだろうか、という一抹の不安も。30周年なのに?アニバーサリー・ライブなのに?そんなことはないはず。
視界には相変わらず前の男性の頭が行ったり来たり横切る。ううむ...。

会場が暖まったところで、メンバー紹介。どうやらキーボードの渡辺氏の所属するバンド名を失念したらしく、元春が近づいて聞き出そうとしている。渡辺氏、苦笑い。

「僕は今年デビュー20周年を迎えました!」
胸を張って元春が切り出す。彼流のリップサービスなのだろうか、それともホントに間違えたのかは定かではないが、会場からは、ええ?という声と笑いとが入り交じった微妙な反応。

「...じゃない。30周年を迎えることができました。」
大きな拍手が沸く。

「今、セルフカバーアルバムを制作していて、今の僕の声で、今の音にアレンジしたものを、年明けには皆のもとにお届けできると思います。その中から幾つか聴いて下さい。」

おお!セルフカバー!これは凄い。密かに2枚組を期待だぜ!
「ジュジュ」「月と専制君主(!)」そしてかなりアレンジの施された「レインガール」が披露された。これは否が応にも期待が高まる。
このあとは、セットリストを御覧頂いてもお分かりのとおり彼の主要ナンバーのオンパレード。

「来年もまた来たいです(会場拍手!)。新幹線も青森まで来るし(会場更に拍手!!)。このツアーでは初めての披露となります。知っていたら一緒に歌って下さい」と言って始まったのは「SOMEDAY」!!それもかなり原曲に近いアレンジで...。
ようやく位置取りの移動に成功し、視界が開けたところで、ふと斜め前の女性を見ると、SOMEDAYを聴きながら涙を拭っている...。嗚呼、何と美しい光景...。

ダウンタウンボーイが終わると、メンバーが袖に下がった。え?もうおしまい?アンコールの拍手が続くと、ギターの深沼氏と元春がステージに戻ってきた。椅子に腰掛け、アコギを手にする。アンプラグド、来たっっっっ!!
...と悦びもつかの間、2曲演奏すると再び袖に引っ込んでしまった。

さすがにこれで終わりはないよな...。
場内からは手拍子が続く。

ステージに再び明かりが灯り、今度はバンドメンバーが全員揃った。
「まだこの季節には早いんだけど...」と言って始まったのは、何と「クリスマス・タイム・イン・ブルー」。

まさかこの曲を聴くことができるとは...。アルバム「Cafe Bohemia」大好き男の僕としては、思わずグッと来てしまった。
そしてラストは「アンジェリーナ」。会場はどうにでもなれと言わんばかりの勢いで大合唱。

しかし、宴はあっけないほど早く終わってしまった。時計を見ると19時40分。正味1時間30分のライブだった。

終演のアナウンスのあとも、会場からはアンコールの拍手が鳴り止まない。しかし、遂に会場から半ば追い出されるような格好で、拍手を続けていた四十路軍団は泣く泣く会場を後にすることになってしまったのだった...。

ただ、青森の、小さなライブハウスで元春を観ることが出来たこと自体が奇跡に近いといってもいいだろう。至福の1時間30分、夢のような1時間30分。

終わってみると、最近発売されたベスト盤からのナンバーと、「Coyote」からのナンバーが大半を占めていたわけで、事前に予習しておいてよかったな、と思う反面、あれも聴きたかったこれも聴きたかった、という欲が沸々と。
ライブ終了後は、あまりの興奮にZ先生と思わずガッチリ握手。その後もZ先生からは興奮冷めやらぬ様子で感謝のメールが届くなど、未だ余韻に浸っているようだ。

かくいう僕もツアーのファイナル、無性に観たい衝動に駆られてます。まぁ、無理なんですけど。ハイ...。



【ネタバレ注意】佐野元春青森公演のセットリスト

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