2010年12月 4日

吸うか、吸われるか

2010年12月4日。遂に青森県にとって歴史的な日を迎えた。
言わずもがな、東北新幹線の全線開業である。
いろんな政治的駆け引きもあったことだろう、基本計画してから38年を経て今日、この日を迎えた訳だ。ということは、僕が生まれた頃に基本計画が策定された、ということに。青森県民にとって負の象徴であったブッツリと切れた盛岡市郊外の新幹線高架橋が遠い昔のことのように思える。

個人的には、東北新幹線の終着駅である新青森駅は、通勤で奥羽線を利用していることもあり、開業の光景を見てもあまり感慨が沸いて来ないというのが正直なところだが、青森県内の民放各局がこぞって伝えた東京始発の一番列車が新青森駅に滑り込む光景をテレビで観ていた時は、なぜかグッと胸にこみ上げるものがあった。
新青森を出発する東京行きのはやて号の模様も放映されていたが、アナウンサーが「ほぼ満席の...」と伝える一方、映される車内の乗客数は8割程度、といった感じだった。

まあそれはともかく、おそらく、東京駅で「終着:新青森」の表示を見た時、アナウンスで「はやて○号、新青森行き...」と聞いた時は、ホントにグググッと来てしまうかも知れない。

来年3月には最速タイプの「はやぶさ」の運行も始まる。官民一体となって...とは言うが、最近「官」はいろいろ苦境に立たされてネガティブになっているので、民の力を全面に押し出して欲しい、と思う(「官」のなかの人としての所感です)。
東北新幹線全線開業という一区切りを迎え、その開業効果をどのように継続していくかが課題となることだろう。新幹線の開業を契機に、観光客もますます増える。青森の魅力を県外の観光客にいかに吸収して頂くかが重要になるが、是非もう一度青森を訪れたい、何度でも訪れたいと思って頂く環境を維持していくこと(あるいは作り上げていくこと)も大切なことだ。


その一方で、並行在来線の経営問題や、ストロー効果といった懸念材料もあるのも事実だ。
ツイッターのログから。
 

青い森鉄道の運行主体は県であって、JRとは相互協力とライバルの表裏一体の関係になることを鑑みれば、快速とか中途半端なことは言わず、いっそのこと特急も運行してしまえばいいのに。だって、実際は「並行」在来線じゃないんだから。
posted at 08:24:32


実際、東北新幹線の八戸・新青森間と並行在来線で乗換駅となるのは八戸駅だけで、向かう方向は同じでも全く別ルートをたどる。終着駅も新青森駅と青森駅と、一駅離れていることを考えると、東北新幹線の開業で不利益を被るのは、並行在来線八戸・青森間の人たちなのではないかと思う。JRから経営分離された「青い森鉄道」では、速達タイプの快速も運行されるようだが、途中駅である三沢や野辺地(下北半島への玄関口)を利用する乗客のことを考えれば、快速にこだわらず、ロングシートの座席でも構わないので急行や特急を運行してもいいんじゃないかと思うのだが...。

もう一つ懸念されることは、なんと言ってもストロー効果だ。新幹線はいろんな物を運んでくる一方で、いろんな物を運んでいくということも頭に入れないとならない。

ま、今日ぐらいはお祭りムードだからこれぐらいにしておきますかね...。

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